邦題 | ブルーサヴェージ |
原題 | Hai-Alarm auf Mallorca |
公開年 | 2004年 |
監督 | ヨルゴ・パパヴァッシリュー |
出演 | ラルフ・モーラー / ユリア・スティンスホフ / カティ・カレンバウアー |
制作国 | ドイツ |
ランク | 準A級(世間的にはB級だが個人的にはお勧めしたい。) |
ストーリー | ★★★☆☆ |
演出や絵作り | ★★★☆☆ |
サメの造形 | ★★★☆☆ |
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あらすじ
スペインのマヨルカ島でヘリコプターの送迎屋を営むスヴェンは、娘マーヤと二人で暮らしながらも、愛する妻を失った喪失感を拭えない日々を送っていた。
そんな時、地元住民が謎の巨大生物に襲われる事故が発生。現場に残された巨大な歯を発見したスヴェンは、その生物がかつて自分の妻の命を奪ったサメであると確信する。
スヴェンは島を訪れていた微生物学者ジュリア・ベネット博士の協力を得て、そのサメが絶滅したはずの古代ザメ、メガロドンであることを突き止める。
しかし、「絶滅したはずの巨大ザメが人を襲っている」という話を周りに信じてもらえないばかりか、スヴェンは何者かに命を狙われるようになり・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
スタートダッシュが良質なメガロドン映画
今やメガロドン映画の代名詞となった『MEG ザ・モンスター』よりも10年以上前に制作された、ドイツ初のメガロドン映画です。
この時代はCG技術の普及と『ディープ・ブルー』という画期的なサメ映画の登場により、それまで『ジョーズ』のパクリばかりだったサメ映画界の多様性が増し始めた時期でした。
そんな時代に誕生した本作は、冒頭のテンポの良さが特徴の作品です。
物語のスタートは海の上。ケージダイブに参加した観光客にサメを見せようと無茶な操業をした結果、ケージが水底に落下して引き上げられなくなります。
さらに観光客が閉じ込められたケージの周りにはホホジロザメが集まってきて、ケージに対して攻撃を始め、絶体絶命のピンチに・・。
ケージダイブ業者の一人マーヤは責任を感じて捨て身の覚悟で海に入ろうとしますが、彼女の父親でありヘリのパイロットであるスヴェンが登場。同乗していた微生物学者ジュリアと協力して決死の救出劇が始まります。
開始早々に緊迫感のある展開で始まることで一気に引き付けられましたし、サメがたくさん登場するのでサメ映画としての雰囲気作りもバッチリでした。このシーンで登場するサメのCGをテレビ映画にしては悪くありません。
この救出劇の中でスヴェン、ジュリア、マーヤという主要キャラクターの性格や関係性も理解ができるようになっており、巨大な影が現れてサメが一斉に逃げていくシーンを入れることで、本筋の展開にも綺麗につながっています。
ただモブキャラをサメに喰わせて開幕しがちなサメ映画界において、導入パートの完成度はかなり高いと言えるでしょう。
全体的にまとまっているがサメの出番は少なめ
導入部分が終わった後は、「主人公がサメの存在を訴えるが周りが半信半疑」という実にサメ映画らしい展開が進む中で、
- 妻を失ったスヴェンと微生物学者ジュリアのロマンス
- 癌に侵される妻を持つ友人カルロスとスヴェンの交流
- スヴェンの娘マーヤと同僚のファビオ、ファビオの恋人ティナの三角関係
- サメを追うスヴェンを襲う謎の勢力
などの様々な要素が描かれます。
ここまで詰め込んだサメ映画はグダグダした挙句に全てが中途半端に終わることが多いのですが、本作は「マーヤ達の三角関係がもつれた末にジェットスキー大会(すなわちサメの活躍チャンス)で決着という流れになる」、「カルロスの妻が癌に侵されていることが最終局面で伏線回収される」など、個々の要素がサメとの闘いに一応リンクしていました。
冒頭で語られた悲哀の物語と沈没船の話だけ何の意味があったのか不明でしたが、他の部分がしっかりしているので許容範囲でしょう。
カーアクションや研究所からの逃走劇もそれなりに見応えがありますし、コメディリリーフとして登場した謎のBBQオジサンが意外なところで再登場して役に立ったり、突然『ターミネーター』のパロディ(警察署に突っ込むシーン)が挿入されるなど、意外と見所が多いです。
苦言を呈するとすれば、メガロドンという超ド級のサメを敵役としながら、そのデカさが活かされるような場面が少ないことです。
ヘリコプターを引っ張ったり捕鯨砲で闘うシーンなど見せ場はあるものの、潜水艦を破壊したり大人数をまとめて飲み込むといった「メガロドンならでは!」という派手なシーンは多くありません。
そもそも全体的にサメの犠牲になる人数が少なく、「コイツは喰われるだろw」と思っていた人も割と生き残っており、やや盛り上がりに欠けるのが難点です。
その他見どころや豆知識
- 本作の続編のような邦題のサメ映画『ブルーサヴェージ セカンドインパクト』という作品がありますが、本作とは無関係です。もちろんエヴァンゲリオンとも関係ありません。
- ケージを海に沈めたまま船を操縦するシーンが何度見てもパワープレイ過ぎる。
- 海洋研究所という設定なのに、どう見ても水族館。
- 女博士の手から器用に肉だけ持ち去っていくハンニバル。
- 化石であるかどうかの分析にDNAは関係ないのでは?
- 洪水でメガロドンが逃げ出す時点で管理ガバガバですが、何故4年間も放置したのか・・。
サメに関する解説
サメの造形
本作のメガロドンは、ホホジロザメをモデルにしたであろうCGで描かれていました。
メガロドンは歯や脊椎など一部しか化石が見つかっておらず(そもそもサメ類の骨は化石として残りにくい)、実際にどんな姿だったのかは未だに議論があります。
ホホジロザメの直系の祖先だったという学説は否定されているので、本作のような姿ではなかった可能性も十分にありますが、確かめようがないのであまり厳しくはツッコミません。
ただし、本作で描かれた歯の形状に大きな問題があります。
本作に出てくるメガロドンの歯は、主咬頭の側面から小さなトゲが出たような形をしています。
確かにサメの歯の中には、左右に小さなトゲ(副咬頭)が出ているものもありますが、基本的に根本の部分から生えています。主咬頭の途中から鬼の角みたいに生えている形状は見たことがありません(少なくともメガロドンの歯はそんな形状ではありません)。


サメの行動
行動ではありませんが、本作のメガロドンには二つの重大なツッコミどころがあります。
まず一つがメガロドンが絶滅した年代です。
研究所でスヴェンがメガロドンの歯を博士たちに見せるシーンで「メガロドンは10万年前に絶滅した」という発言がありますが、これは誤りです。
メガロドンは新生代のうち、約2000万年前から360万年前まで生きていたとされるサメです。この年代時代も諸説ありますが、10万年前というのは明らかに”諸説あり”で許容できる範囲を超えています(過去に1万1000年前~2万4000年前の歯が見つかったという論文が発表されたことがありましたが、現在では測定方法に問題があったことが分かっています)。
もう一つが、メガロドンの繁殖方法についてです。
ジュリアはメガロドンの誕生過程について、「南極で発見された凍った卵から遺伝子を取り出してクローンを作った」と説明しています。
しかし、メガロドンが含まれるネズミザメ目のサメは全て胎生(厳密には不明とされる種も恐らく胎生だと思われる)であり、卵生だったと示す情報も僕が知る限りありません。
いくらメガロドンの生態について様々な議論があるとはいえ、映画製作当時も現在も、胎生であったと仮定するのが自然だと思います。
「卵」が「殻に包まれたタマゴ」ではなく「受精卵」という意味だった可能性もありますが、サメの受精卵だけが南極に保存されているという状況が謎ですし、もし発達途中の赤ちゃんであれば「胚」や「胎仔」という言い方になるはずなので、卵生だと思っていた可能性が高いでしょう。
その他サメの解説
ジュリアはスヴェンとの会話で「サメは癌にならない」という話をしていますが、サメは癌になります。「サメ軟骨が癌に効く」というデマが流行ったこともあるので、こうした情報には注意が必要です。
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