| 邦題 | ディープ・ウォーター |
| 原題 | Fear Below |
| 公開年 | 2025年 |
| 監督 | マシュー・ホームズ |
| 出演 | ハーマイオニー・コーフィールド / ジェイク・ライアン / アーサー・エンジェル |
| 制作国 | オーストラリア |
| ランク | 準A級(世間的にはB級だが個人的にはお勧めしたい。) |
| ストーリー | ★★★★☆ |
| 演出や絵作り | ★★★☆☆ |
| サメの造形 | ★★★☆☆ |
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あらすじ
舞台は第二次世界大戦後のオーストラリア。潜水士クララが働くシー・ドッグ・ダイビング社に「川に沈んでしまった車の中の積み荷を回収して欲しい」という依頼が舞い込む。
積み荷の詳細を明かさずに高額報酬を提示する依頼主マドックに不信感を覚えつつも、経営難を一気に解決するチャンスとしてクララたちは仕事を引き受けることに。
しかし、車が沈んだ川に巨大なオオメジロザメが現れ、クララたちは襲われてしまう。
さらに、マドック達の正体が盗品のインゴットを回収しようと目論むギャングであることが判明し・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
派手さはないが堅実で整ったストーリー
ひと昔前のオーストラリアを舞台にした、クライムアクション系のサメ映画です。「ディープ」という邦題は『ディープ・ブルー』との関連性(全くそんなものはない)を少しでも匂わせたいがために配給会社から付けられたのでしょう。
実際にはそこまで水深がディープではない川が舞台となります。
盗品のインゴットを輸送中に川に落としたギャングたちが、善良だが経済的な問題を抱えている潜水士達を利用して回収しようとしたら、そこに人喰いザメが現れた・・という内容です。
この「気が進まない仕事を高額な報酬のために引き受けた結果サメに襲われる」や「水中のブツの回収という目的のために主人公たちが悪人に利用されてしまう」という展開は、これまでも複数のサメ映画で採用されてきました。
代表的な例としては『レッド・ウォーター サメ地獄』、最近の作品だと『ジョーズ 異次元の怪物』などが挙げられます。
「権力者がサメの存在を否定してイベントを強行する」ほどメジャーではないにしろ、すでにサメ映画の中では一つのテンプレートとして成立していると言えます。
そんなテンプレに沿っているだけあって、ストーリーの進行は安定しています。潜って、襲われ、また潜って・・という繰り返しの中でちゃんとサメの見せ場やトラブルが挿入され、程よく人間関係が描かれており、かなり内容は整っていました。
時間稼ぎでグダグダしたり人間ドラマばかりでサメが置いてけぼりになることもなく、潜水士×サメ×ギャングのハラハラした展開を楽しむことができます。
第二次世界大戦後という時代設定がサメ映画としては新鮮で、その点も本作の魅力の一つです。
サメの出番はやや少なめだが演出が光る
他の回収ミッション系サメ映画(と勝手に自分は呼ぶことにします)にも言えますが、本作は「川底に沈んだ金塊を回収しないといけないが、回収したとしてもギャングに用済みとして消される」という板挟みがストーリーの中心であり、サメはその中で悪役も含めた登場人物たちを悩ませる舞台装置的な位置づけとなっています。
したがって、「サメVS人間」というストレートな構図のサメ映画に比べれば、サメの出番は若干控えめです。
しかし、各登場シーンで良い演出がされているなとも感じました。
本作はまだ現代的なスキューバダイビングの機材が普及していない時代という時代設定で、登場人物たちは視界が狭く動きづらい潜水服を着て水底を歩くことになります。
潜水服を来た人間の顔がドアップになるショットや狭い視界から濁った水中を見るアングルは、そうした閉塞感と「サメがどこから襲ってくるか分からない」という恐怖を掻き立ててくれます。
特に、いきなりサメが噛み付いてきて潜水服の狭い視界いっぱいに口内が映るシーンは、本作の設定ならではの斬新な襲撃シーンだと感じました。
さらに、サメ対策の囮のロープが急に緩んだり、浮上させていたライトに何かがぶつかるなど、サメの存在を暗示させる非直接的な描写も上手く使われいました。
スケールの小さい低予算の映画ではあるものの、近年稀に見る”マトモな”サメ映画です。逆に言えば、トンデモ描写に飢えているコアなサメ映画ファンには物足りない一作かもしれません。
その他見どころや豆知識
- 主演を務めるのはハーマイオニー・コーフィールド。どうしても『ハリー・ポッター』シリーズが頭に浮かんでしまう名前ですが、個人的にはユニークな形状の怪物が登場する映画『シーフィーバー 深海の怪物』での主演が印象的です。その他『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』や『スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ』などの作品に脇役で出演しています。
- 沈んでいる車のナンバーが「007」。恐らく『ジョーズ』のオマージュです。
- なぜ地元警官が川にサメがいると知っているのにアーニーたちは何も対策せずに潜ったのか・・・。
サメに関する解説
サメの造形
川が舞台ということで、オオメジロザメが登場します。
短くて丸みを帯びた吻、大きな頭、小さい目、筋肉質なゴツイ体など、全体的な特徴はとらえられていると思いました。
ただし、サメ漁師と闘うシーンで映る背鰭の形が、どう見てもオオメジロではありません。
オオメジロザメの背鰭は「ザ・世間がイメージするサメ」とでも言いたくなる大きくて幅の広い三角形ですが、本作で水面から出ていたのは鎌形で細長い背鰭でした(その後のシーンではもう少し実物に近い形状になっていました)。
また、サメが噛み付くシーンで見える上顎歯がオオメジロザメにしては細長く、本数も無駄に多いように見えました。
さらに、本作のサメは5mと紹介されていましたが、実際のオオメジロザメは3mもあれば大きい方です。


サメの行動
作中でも言及されていた通り、オオメジロザメは淡水域にも現れる数少ないサメの一種です。
川で見られるのは幼魚が多いですが、大型個体が遡上できないわけではなく、オオメジロザメによる死亡事故が川で起きることもあります。
したがって、本作のように上流で大きなオオメジロザメと遭遇することは、珍しいとは思いますがあり得る話です。
なお、U-NEXT配信版の日本語字幕では「産卵して海に帰る」という表現がされていましたが、オオメジロザメは胎生のサメです。したがって卵殻に包まれた状態ではなく、自由遊泳できる小さなオオメジロザメを出産します。
実際の英語のセリフでは「have babies」と言っていたので、恐らく「魚は卵を産むもの」という認識で字幕担当者が誤訳したのだと思われます。
その他サメの解説
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