『シャーク・イン・ベニス』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

財宝の番犬としてサメを逃がしたマフィアがサメに喰われるというアホ過ぎる展開のクライム系サメ映画です。

邦題シャーク・イン・ベニス
原題Shark in Venice
公開年2008年
監督ダーニー・ラーナー
出演スティーブ・ボールドウィン/ヴァネッサ・ジョハンソン/ヒルダ・ファン・デル・ミューレン
制作国アメリカ
ランクB級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品)
ストーリー★★☆☆☆
演出や絵作り★★☆☆☆
サメの造形★★★☆☆

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目次

あらすじ

米国の大学で教鞭を執っていたデイヴィッド・フランクスは、イタリアのヴェネツィアで父親が失踪したと知らされる。

恋人ローラと共にヴェネツィアを訪れたデイヴィッドは、父親がヴェネチアの海底洞窟に隠されたメディチ家の財宝を探していたことを突き止める。

父親を探し出すために海底洞窟に向かうデイヴィッドだったが、水路には人喰いザメが巣食っており、さらに財宝を求めるマフィアまで現れる・・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

アホすぎるマフィアによるサメ騒動

水の都として名高いヴェネツィアの水路でサメが人を襲うというのが本作の醍醐味ですが、冷静に考えるとブッ飛んだストーリー展開が満載です。

メディチ家の財宝を探すマフィアの部下がサメに襲われる場面から始まるので、「サメが財宝をガードする守護神的な設定なのか?」と思いきや、なんとサメを放流したのがマフィアたち自身だと終盤で明かされます。

放流できるように生きたままホホジロザメを捕獲・飼育していること自体が驚きですが、サメがいることを知っていながら普通に部下をダイビングさせて犠牲者を出す様は、冷酷というより間抜けです。

しかも、デイヴィッドに財宝探しを強制させる際も、一回ローラだけさらった後に再度デイヴィッドを襲撃するという二度手間の犯行に及んでいます。

挙句の果てに多数の一般人がサメの餌食になることで騒動を大きくしてしまい、「沿岸警備隊が来るから急がないといけない」と喚きだす始末。そして、案の定サメの襲撃を受けて宝探しが頓挫します。

これほどまでに「お前ら一体何がしたかったんだ?」と言いたくなる悪役も珍しいです。

また、サメによる死亡者が出ているのに街に警告せず、ローラがさらわれたと通報されてもまともに捜査しない警察の腐敗っぷりがすさまじいです。

さらに、結局マフィアを倒してハッピーエンドを迎えつつもサメは野放しのままで、主人公もその隠ぺいに同意してしまい、総じて登場人物の倫理観がおかしい気がしてきます。

他作品とドキュメンタリーのパッチワーク

本作におけるサメの襲撃シーンは、以前にレビューした『ディープ・シャーク』などと同じく、『シャークアタック』シリーズの一部やドキュメンタリー映画をつなぎ合わせて作られています。

終始画質が変わるのはもちろんのこと、ヴェネツィアの水路を泳いでいる設定なのに背景がやけに青く広々として見える場面も見受けられます。

ただし、ヌー・イメージ社のサメ映画には珍しく、他作品では見られないオリジナルと思しきCGのサメも用いられていました。

また、他作品の素材シーンもスローにしたりドアップにすることで、「ヴェネツィアの水路にいる」という設定を守ろうとした痕跡は見受けられます。

ちなみに、ヴェネツィアの空撮と遺跡探索シーンのおかげでそれっぽさが出ていましたが、デイヴィッドが水路に沈められたスーツケースを引き上げるシーンで映る水面が明らかにCGです。

ひょっとすると、ヴェネチアの街並みや空撮は素材映像で、現地に行かずに製作したのかもしれません。

ヒロインが常に仏頂面

本作のサメ以外の見所しては、ヴァネッサ・ヨハンソン(スカーレット・ヨハンソンとは何の関係もない)が演じるヒロインのローラが挙げられます。

すらっとした非常に美しい女性ではあるのですが、どの場面でも常に仏頂面で感情が読み取れません。

父親の失踪を聞かされた恋人を心配するときも大して表情を変えず、サメに引き裂かれた無残な死体を見せられた時もただ目を背けるだけで顔つきに大した変化なし。

恋人と一緒に潜っていたダイバーがサメに喰われたという報告を受けても、淡々と捜査官にその旨を告げるだけ。肝が据わっているのか無感情なのかハッキリしません。

マフィアにさらわれるときは多少取り乱し不安な心境を表したものの、やはり大きく表情は変わらず・・・。しかもそのままの表情でマフィアの一人を銃殺します。

英語で聞いていると声のトーンなどに変化はあるので演技が下手なわけではないと思い、「もしかしてこの表情は彼女に裏がある伏線なのか?」と深読みしましたが、結局普通にヒロインとしてさらわれ、普通にヒロインとして救い出されています。

サメ映画に出る女優なら派手に泣き叫ぶか、血まみれになって食われるか、あるいは脱いで欲しいものですが、終始クールなまま。一体監督は彼女をどういう存在として位置付けていたのか謎です。

その他見どころや豆知識

  • 本作では「第8回十字軍でメディチ家が強奪したソロモン王の宝がヴェネツィアのどこかに隠されている」という設定でしたが、第8回十字軍はフランスのルイ9世が1290年に主導しており、メディチ家は特にかかわっていないはずです。そもそも、メディチ家が影響力を増したのは14~15世紀頃なので、第8回十字軍とは時期がずれているようにも感じます。
  • どう見ても普通のレギュレーターに見えますが、当たり前のように水中でみな会話しています。別作品でもツッコみましたが、アガマスクくらい用意して欲しい・・・。
  • ダイビング中にデイヴィッドが「空気残量がほとんどない」と言うシーンがありますが、画面に映るメーターでは残量がゼロになっています。あれでは呼吸できないので非常に危険です。
  • 洞窟内や倉庫など地上で起きているはずの爆発シーンで、水中での爆発映像(他作品から流用)が使われています。
  • スタッフロール直前に映るサメのヒレが不自然に上下しており、作り物感がすごいです。

サメに関する解説

サメの造形

先述の通り本作のサメはほとんどが他作品やドキュメンタリー映像の切り抜きで、そのほとんどは本物のホホジロザメでした。

ただし、本作オリジナルのCGについては、雑さをごまかしたかったのか一瞬しかサメが映らず、そのクオリティは評価しがたいです。

サメの行動

本作『シャーク・イン・ベニス』の根幹にかかわる問題ですが、ヴェネツィアの水路にホホジロザメが現れる可能性はゼロに等しいです。

ネットで出てくる画像や映像を見る限り、ヴェネツィアの街中を流れる水路の水深はかなり浅いと思われます。

水路の幅も場所によっては非常に狭く、とてもホホジロザメが身を隠せるような場所ではありません。

さらに、美しいイメージのあるヴェネチアの水はお世辞にも綺麗とは言えず、沈殿した泥などが行き交う船によって巻き上げられるような場所です。

塩類濃度や水質の観点からも、大型サメ類が過ごせる環境ではないでしょう。

また、マフィアのボスが小さなタンクに入れた子ザメを見せびらかすシーンがありますが、ホホジロザメは産まれた時点で1m以上あり、あんなしょぼい水槽で飼えるはずもありません。

そして、「子ザメを放したら大きくなって水路から出られなくなった」と言っていますが、ヴェネチアの水路には大型動物がいないので、最低でも一カ月に一人という高頻度で人間を食べない限り飢え死にしてしまうでしょう。

そもそも、ホホジロザメの長期飼育(まして繁殖)は世界中の誰も成し遂げていないので、もしホホジロザメを飼う技術を持っているなら、メディチ家の財宝など鼻くそに思えるほどの財と地位を手に入れられる気がします。

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