『スカイ・シャーク』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

空飛ぶ戦闘機みたいなサメが観られるという点では面白いですが、逆にそれ以上の中身や魅力に欠ける作品です。グロやエロが苦手な方は注意。

邦題スカイ・シャーク
原題Sky Sharks
公開年2020年
監督マーク・フェーセ
出演トーマス・モリス/バルバラ・ネデルヤコーバ/エバ・ハーバーマン
制作国ドイツ
ランクB級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。)
ストーリー★★☆☆☆
演出や絵作り★★★★☆
サメの造形★★★☆☆

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目次

あらすじ

ドイツのフランクフルトに向かっていた飛行機が、何者かに襲撃を受けて墜落するという惨事が発生。

同じ頃、すでに滅んだはずのナチス第三帝国の巨大戦艦が北極で発見される。

それは、不死身の兵士を作り出す実験の果てに生まれたナチスのゾンビ軍団と、彼らが操る戦闘機と化したサメ「スカイ・シャーク」の基地であった。

ヨーロッパ中がスカイ・シャークによって壊滅的な被害を受ける中、かつて実験に関わっていたリヒター博士は、娘二人と共にスカイ・シャークを倒すべく動き出す・・・!

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

勢いとビジュアルは良いが中身がない

いまやB級映画監督たちのオモチャと化してしまったサメ・ナチス・ゾンビをグチャッと混ぜて製作されたドイツ産のサメ映画です。

端的に言えば「それっぽい感じに仕上げているけど中身空っぽの作品」でした。

冒頭でいきなりスカイ・シャーク部隊が旅客機を襲撃するのは”つかみ”としてイイ感じですし、VFXのクオリティもサメ映画の中では高い水準です。

しかし、その後の物語はまとまりがなく、非常に雑です。

一応ストーリーのようなものは存在し、後半では最終決戦的な盛り上がりもあるのですが、

  • 何故スカイ・シャークは蘇ったのか?
  • 何故リヒター博士たちは北極や墜落現場を調査していたのか?
  • 何故リヒター博士は各国の諜報員や専門家とのコネクションを持っているのか?
  • 何故空飛ぶサメが破壊の限りを尽くす状況で人々が旅客機に乗ろうとしているのか?

こうした背景がほとんど説明されないまま、無駄に長くて細かい回想シーンを挟みつつ、どんどん話が進行します。

そんな散漫な状態で「ゾンビ計画(Project Dead Fresh)」や「スカイ・メガロドン」などの新要素を次々に詰め込んでくるので、それっぽい終わり方はするものの迷走した感がすごいです。

もちろん、「ゾンビはまだ分かるとして、何故サメなんだ?」という疑問への解答も一切ありません。どうやってサメが呼吸しているのか?そもそも普通の戦闘機やゾンビが飛べる仕様ではダメだったのか?全くの謎です。

さらに、子供の横で堂々とB級ポルノ映画を観るオッサン、元ギャングの神父という『20世紀少年』みたいな設定のハゲ、飲んだくれのセクハラ日本人、意味深なことを語る捜査官など、モブにしてはクセの強いキャラを次々に登場させながら、ほとんど活かすことなくゾンビの犠牲者として葬っています。

恐らくですが、ストーリーなど最初から眼中になく「サメとゾンビとナチスを登場させてこんな絵を撮ってみたい!こんなネタをやってみたい!」という製作陣の欲望をただ具現化したのだと思います。

「空飛ぶジェットサメが観たい!」という方以外に、特にお勧めする要素はありません。

無駄にグロし無駄にエロい

これも製作陣の願望があふれ出ただけだと思いますが、とにかくエロやグロが多いです。対象年齢もR18指定を受けています。

ゾンビたちが人を撃ったり切ったりする度に大量の血が飛び散りますし、縦に人間を切り裂く、内臓をえぐり取る、首だけ切り落とすなどの描写が連続します。

機関銃やミサイルを装備したスカイ・シャークなら旅客機を撃墜するのは簡単なはずなのに、何故かわざわざ乗り込んで乗客を惨殺していきます。「ゾンビだから食べるのかな」と思いきや、血祭りにした後はさっさと脱出。本当にグロさを見せつけたかっただけに思えます。

おまけに、飛行機からスカイ・シャークを撮影している男のビデオカメラに何故か女性の裸が保存されていたり、北極を調査している男女が交尾していたり、飛行機に乗ったデブのおっさんとギャルが機内のトイレで交尾するなど、全く必要性を感じないエロ描写が定期的に挿入されます。

モンスターパニックの中ではグロ描写が少ないサメ映画において、本作はかなり例外的な存在なので、そうした描写が苦手な方、カップルで鑑賞するという方はご注意ください。

その他見どころや豆知識

  • ゾンビ兵が機体の扉を壊して侵入しているのに気圧が全く変化しない飛行機内。
  • 第二次大戦中という設定なのに、思いっきり現代的なフルカラーアニメでゾンビ兵のプレゼンをするカムラー博士。
  • ゾンビの説明はやたらと長いのに、サメについては「空飛ぶサメ”ジェットサメ”に乗り込むのだ!」だけで済まされる。
  • 「サメの嵐を敵国へと放て」というパワーワード。
  • 「今後父さんをどう信じればいいの?」という真剣な問いの直後、場面が切り替わってニュースを観ている3人。話し合いを着地させないまま物語を進めるな。
  • 飛行禁止のせいで株価が下がっているというどうでもいいニュース。いいからもっとサメを出せ。
  • 空飛ぶサメがヨーロッパを滅茶苦茶にしているのに飛行機に乗りたがる人々と、何故か出発を許されるニューヨーク便。
  • 空港でキスしたり機内で交尾しているオッサンの脇汗がすごすぎる。
  • エンドロールの後に流れる謎の映像、よく見ると冒頭の機内でドイツ人のオッサンが観ていたB級ポルノ映画の予告編になっています。

サメに関する解説

サメの造形

VFXの出来栄えはそこまで悪くなく、いわゆるB級とされる映画の中ではクオリティが高いです。

ただし、ホホジロザメと思しきサメの第二背鰭や臀鰭が細長い鎌形だったうえに、お腹周りがポッチャリしていたのが気になりました。

また、ホホジロザメだとしたらあまりにも目が小さく、可愛らしさが強調された顔になっていました。

サメの行動

空を飛ぶ時点で行動も何もないのですが、本来サメは唸り声をあげませんし、透明になる能力も持っていないことはお伝えしておきます。

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