メガロドンの真実!実際の大きさは?なぜ絶滅したのか?今も生きているのか?【巨大ザメ】【古代ザメ】【古代生物】

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は謎に満ちた巨大ザメ、メガロドン解説していきます。

サメ好きの方は当然ですが、そうではない方も「メガロドン」というサメの名前は聞いたことあると思います。

映画の題材になったこともあり「とんでもなくデカい古代のサメ」という認知はかなり広まったと思いますが、どのくらい大きかったのか?どんな時代に生きていたのか?どんな姿をしていたのか?などを聞かれると、答えに迷う人も多いと思います。

また、「メガロドンは今も生きている!」という噂話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?

これを機にメガロドンとはどんなサメで、巷に流れる情報は本当なのか、一緒に勉強していきましょう!

目次

解説動画:メガロドンの真実!実際の大きさは?なぜ絶滅したのか?今も生きているのか?【巨大ザメ】【古代ザメ】【古代生物】

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

メガロドンはどんなサメ?

メガロドンとはどんなサメなのか、まずはざっくりと紹介していきます。

ちなみに、後で説明する理由により、今回僕がお伝えする内容のほとんどが「諸説あり」です。そのため、「この論文にはこう書いてあったぞ!」のようなご意見もあると思いますが、その点はご了承ください。

メガロドンは、およそ2000万年前~300万年前、時代でいえば新生代の新第三紀に生息していたサメです。

「絶滅した巨大ザメ」という言葉の響きからして、映画『ジュラシック・ワールド』シリーズに出てくるモササウルスと死闘を繰り広げるようなイメージがあるかもしれませんが、メガロドンが生きていたのは恐竜やモササウルス類が滅んだK/pg境界大絶滅のかなり後の時代です。

この時代にはすでに多くの哺乳類が繁栄し、その一部が海に戻って進化したクジラ類も数多く生息していました。メガロドンはそんな時代の中で、最大級の捕食者として君臨していたとされています。

こちらがメガロドンの歯の化石です。先の尖った三角形をしており、縁はノコギリのようにギザギザしています。歯のサイズは大きいもので高さ15cm以上、絶滅したものも含め、これまで知られている全てのサメの中で最大級の歯です。そもそも「メガロドン」という名前自体が「巨大な歯」を意味します。

メガロドンとホホジロザメの歯の化石。いかにメガロドンが大きいかが分かりますね。

ちなみに、メガロドンの歯の化石は日本でも数多く発見されており、サメの歯だと分かる前は天狗の爪と言われていました。

このデカすぎる歯とその肉を切り裂くのに適した形状、そしてそこから推定されるサイズからして、当時メガロドンは最強の捕食者の一種だったと思われます。現に、同時代のクジラの骨の化石からメガロドンに噛まれたと思しき跡や歯の欠片が見つかっており、生態系の頂点に君臨していたのは間違いないでしょう。

しかし、その大きさを含め、実は色々と分かっていないことが多いサメでもあります。その理由も含めて、もう少し掘り下げていきましょう。

古代ザメは謎だらけ

メガロドンに限らず、古代のサメがどんな姿でどんな生活をしていたのか調べるのは非常に困難です。それは、サメの骨格に理由があります。

サメやエイ、そしてギンザメの仲間は軟骨魚類というグループに分類されます。名前の通り骨格のほとんどが軟骨で構成されています。

ここで問題なのは、軟骨は化石として非常に残りにくいということです。

化石にもいろいろな種類がありますが、皆さんが一般にイメージする化石というのは死んだ生物の骨格や殻など硬い部分が鉱物に置き換わって作られます。しかし、軟骨は分解されやすいので、恐竜の骨やアンモナイトの殻のように化石として残ることはめったにありません。サメの骨格が化石として残っているものもありますが、かなりのレアケースです。

サメの仲間の化石。このように全体が残ることは非常に稀です。

では、古代のサメを知る主な手掛かりは何かと言えば、です。

骨格のほとんどが軟骨のサメですが、歯は僕たちの骨と同じようにカルシウムを多く含んでおり、しかも生きている間に何度も抜け落ちるので、たくさんの化石となって僕たちの前に現れてくれます。

その歯が埋まっていた地層や歯の形状などの情報をもとに、どの時代に生きていたどんなサメだったのかを調べていくわけです。

歯以外の手がかりがほとんどない中で研究を進める古生物学者の方々は本当にすごいなと思いますが、手掛かりが非常に少ないがゆえに、その姿や大きさ、分類は非常に論争の的になります。

大きさは結局分からない?

よくテレビや映画では全長20mと紹介されるメガロドンですが、実は詳細な全長については分かっていません。「全長20m」も特に主流の説というわけではなく、キリがいいしインパクトのある数字なのでよく用いられているだけだと思います。

先ほども言った通り古代ザメを調べる手がかりは歯以外ほとんどないので、メガロドンの大きさも、その歯の化石から推定することになります。

一番楽なやり方は、現生の近い仲間であるサメの全長と歯の関係式に、メガロドンの歯を当てはめることです。

メガロドンは、現生のホホジロザメに近い仲間とされてきました。この説の問題については後で述べますが、大きな三角形で縁がギザギザしていることは共通しています。そこで、全長3mのホホジロザメの歯の大きさは何センチ、6mなら何センチ、というデータをプロットしていき、その関係式にメガロドンの歯の大きさをいれるわけです。

この方法で導き出されるメガロドンの全長は約16m、多少前後するにしても15~18mほどだと思われます。20mには及びませんが、それでも現生のホホジロザメの3倍以上の大きさです。

ただ、この16mという数字は、以下のようなことを都合よく前提にしたうえで導き出されています。

  • ・メガロドンがホホジロザメと同じような体形である
  • ・メガロドンとホホジロザメは体と歯の大きさが同じような成長率で大きくなる
  • ・成長しても歯と体の大きさの相関関係が変わらない

これらが成り立つと仮定したうえでの推定方法なので、16mというサイズが本当に正しいサイズなのか、はっきりしたことはまだ分かっていません。

歯のサイズや形状などの証拠から、とてつもなく巨大な捕食者だったことは間違いないですが、全身骨格が見つかっていない以上、限りあるデータから「多分これくらいかも」という数値を求めることしかできないんです。

どの仲間かもはっきりしない

「メガロドン」で画像検索すると、ホホジロザメに近い姿をしたサメのイラストやただ単にホホジロザメをバカでかく見えるように合成した写真がたくさん出てきます。水族館や博物館などでメガロドンのイメージが展示される際も、ホホジロザメに非常に近いフォルムをしていることが多いです。

大阪海遊館に展示されているメガロドン模型。

これは「メガロドンはホホジロザメの祖先である」という説の影響が大きいと思いますが、実はメガロドンの分類についても議論があります。

そもそも「メガロドン」という名前自体が通称でしかなく、学名についても定まっていないのが現状です。

生物には、どの世界や地域でも共通して一つの種を表せるように、唯一無二の名前、学名が与えられます。この学名は二名法という規則に従い、属名と種小名が合わさったものでできています。例えば人間はHomo sapiens、ホホジロザメであればCarcharodon carchariasという学名が与えられています。

以前に「トリビアの泉」という番組で「ゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ」というトリビアが紹介されたことがありましたが、あれは平たく言えば「ゴリラ属のゴリラという種」という意味です。

メガロドンという名前は、この話でいう種小名にあたります。そのため、本来であれば「どの属に分類されるか」を表す属名がついて、〇〇・メガロドンになるはずですが、ここで意見が分かれています。

当初メガロドンはホホジロザメと同じホホジロザメ属に分類されていて、カルカロドン・メガロドンと呼ばれていました(正式に表記すればCarcharodon megalodon)。

たしかにメガロドンの歯は素人目にはホホジロザメの歯に似ている気もしますが、鋸歯と呼ばれる縁のギザギザの細かさや歯根という部分に違いが見られます。さらに、ホホジロザメはメガロドンとは別の系統、現生のアオザメに近い仲間から進化したと示す研究も出てきました。

ホホジロザメの歯。鋸歯のギザギザ具合や歯根の部分に違いが見られます。

そうした流れで、メガロドンは完全に絶滅したサメの仲間であるとする説が有力視されるようになりました。ただ、これについても、カルカロクレス・メガロドン(Carcharocles megalodon)とするか、オトーダス・メガロドン(Otodus megalodon)とするかで意見が分かれています。

僕はこれ以上深堀しませんが、比較的最近に発表された論文や博物館のウェブサイトを見ると、オトーダス・メガロドンが推されているような気もします。

マニアックな話に聞こえるかもしれませんが「メガロドンというのはどのサメの仲間かはっきり分かっていないけどホホジロザメの祖先であるという説は疑わしい」くらいに覚えてもらっていいと思います。水族館ごとにメガロドンの学名が異なっていたりもするので、ぜひ見かけた際はチェックしてみて下さい。

メガロドンの姿も曖昧?

メガロドンがホホジロザメの祖先ではないなら、一体どのような姿をしていたのか?

つい最近、メガロドンは頭部だけで4.65m、背鰭の高さは人間一人分というニュースが話題になりました。

元になった論文では、ホホジロザメだけでなく、ネズミザメ目のサメ複数種のデータをもとに、全長16mのメガロドンの体型を推定しています。その結果、頭のサイズが約4.65m、背鰭の高さが約1.62m、尾鰭の高さは3.85mという結果が得られました。

このような分析がされる中でホホジロザメとの分かりやすい違いを紹介するとすれば、頭の形状だと思います。ホホジロザメの吻先は割と尖っていますが、メガロドンは、そのデカすぎる顎で獲物を噛むのにかなりの筋肉が必要になるため、もっと吻先が潰れたような顔をしていたと推測されています。

他にも、メガロドンの胸鰭はその巨体の揚力を維持するために、ヨシキリザメのように長かったのではないかと指摘する専門家もいます。歯しか見つかっていないので本当のところは分かりませんが、ホホジロザメをそのまま大きくした姿ではないでしょう。

ヨシキリザメの幼魚。他のサメに比べて胸鰭が長いです。

世間には未だにホホジロザメをそのまま大きくしたような画像で「メガロドンだ!」というものがありますが、騙されないようにお願いします・・・。

最強のサメは何故絶滅したのか?

メガロドンが絶滅した理由というのもはっきりとは分かっていませんが、いくつか説は挙げられています。

よくあげられる原因は、地球規模の寒冷化です。

鮮新世の末期、約260万年前、海水温が低下することにより多くの海洋生物が絶滅しました。メガロドン自体は低水温に適応できた可能性がありますが、寒冷化で多くの生物が死に絶えると、それを食べていた動物も餌をなくして滅び、それを食べていた生物も同じように…というように連鎖的に影響が及んでいきます。

メガロドンは非常に大きな捕食者で、しかもその歯の形状からしてクジラなどの大型の獲物を食べるのに特化していたと考えられます。仮に低水温そのものに適応できたとしても、餌が少なくなったことによって衰退していった可能性は十分にあります。

また、地球規模で寒冷化が進むと、海の水が大きな規模で凍り付き、海水面が低下します。

メガロドンの化石発掘場所やその大きさなどを統計的に分析した論文によれば、メガロドンは、現生のサメがそうしているように、子供の頃は浅い沿岸の海で暮らしていたことが示唆されています。

いくら最強の捕食者だとしても、子供が産まれ、育たなければ種として生き残ることはできません。海水面が低下したことにより、メガロドンの子供が安全に育つための理想的な沿岸環境が減ってしまい、結果として数を減らしていったのかもしれません。

これ以外にも、気候変動の影響を大きく受けるより前に「ホホジロザメやその他の捕食者が台頭したことによって衰退していったのではないか」など、メガロドンの絶滅の原因については様々な説が提唱されています。今後の研究がどのように展開するのか楽しみですね。

実は生き残っているのか?

メガロドンの絶滅について色々な説が出ている中で「そもそも絶滅していないんじゃないか?」というぶっ飛んだ話もあります。

最高にカッコいいハゲでお馴染みのジェイソン・ステイサム主演で映画化された『MEG ザ・モンスター』をはじめ、メガロドンが実は生きていたという設定のフィクション作品やメガロドン生存説を主張する都市伝説は数多くあります。

もちろん全長16mのサメが平然と泳いでいたら多くの人に目撃されていると思いますが、都市伝説的に言えば、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵など、深海の奥深くでひっそりと暮らしているから見つからないらしいです。実際、だいたいのメガロドン映画が深海や極地などで生き残っていた個体が襲ってくるという設定だった気がします。

何故かこのメガロドン生存説を信じたがる人が一定数いるのですが、メガロドンが生存している可能性はほとんどゼロに近いと僕は考えています。その理由は大きく分けて三つあります。

①深海の生態系でメガロドンを支えられるのか?

まず、メガロドンは超巨大な捕食者でありかつては世界中の海を泳ぎ回っていました。そして、先ほど述べた通り、歯の形状からしてもクジラなどの大型動物を食べるのに特化していましたと思われます。

こうしたことを考えると、向かうところ敵なしの化け物であるメガロドンが、ご馳走がたくさん泳ぐ水深を避けるようにして餌が少ない深海奥深くにわざわざ隠れて暮らす意味が分かりません。

メガロドンのような巨大ザメが深海で生き残るには、彼らを支えるようなクジラや他の大型サメ類などのエサが沢山必要であり、さらにそのエサを支える沢山の魚が必要で、さらにその魚たちが食べる小さな生物が膨大に必要です。しかし、一次生産者のいない深海環境の資源は限られており、深海の生物たちだけでメガロドンを支え切れるとは到底思えません。

②子育てをどこで行っているのか?

さらに、先ほどの絶滅の話でも触れた通り、メガロドンは子育てのために沿岸環境を利用していた可能性があります。もしメガロドンが生き残っているのであれば、出産のために浅い海に来るお腹の膨れた母メガロドンや、そこから生まれた小さなメガロドンが確認されてもおかしくはありませんが、信頼できる報告事例はありません。

③今生きていたとしても”メガロドン”なのか?

そして、最後に僕がどうしても気になるのが、仮に全長16m前後の大きな歯をもった巨大ザメが深海などの環境に生存していたとして「それは本当に生物学的にメガロドンと言えるのか?」ということです。

諸説あるとはいえ、メガロドンが生きていたとされる時代から200万年以上経っています。もしメガロドンが深海という高水圧・低水温・少ないエネルギー量という特異な環境に適応していて今まで子孫を残してきたのだとしたら、それは当時のメガロドンから進化した全く別のサメではないでしょうか。

そうだとしたら非常に興味深いテーマだと思いますが、みんな「デカい人食いザメがまだ生きている」と騒いでいるだけ。結局メガロドンかどうかはどうでもよく、証拠もない妄想を信じて騒ぎたいだけなんだと思います。

別にそういう楽しみがあってもいいと思いますが、それは映画やSCPなど明らかにフィクションでやって欲しいです。真面目にサメについて考えている時にデマや捏造写真とかを持ってこられると迷惑ですし、根拠のないデマを事実であるかのように広めるのは、有害なニセ科学やスピリチュアルに通じてしまいます。

こういうことを主張すると大抵以下のような的外れな批判が来ることがあります。

オカルト界隈

夢を否定するな!価値観の自由だ!

しかし、メガロドンが現代の海で生き延びているかどうかは科学的な問いであり、海の安全にもかかわる重大なテーマなので、価値観とか夢の問題ではないです。信じるとか否定するなというなら、感情的に反発するのではなく確固たる証拠を持ってきましょう。

最後に付け加えると、別にメガロドンが絶滅していてもう会えないとしても、現生に生きているサメたちも十分に魅力的です。証拠に乏しい生存説を無理に擁護するより、現生のサメに目を向けたり、きちんと古生物学を勉強する方が僕は有意義だと思います。

参考文献

※本記事は2022年3月までにWebサイト『The World of Sharks』に掲載された記事を加筆修正したものです。

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