メガロドン絶滅は嘘だった?超巨大ザメの生存説を徹底解説!【古代ザメ】【MEG】

ジェイソン・ステイサム主演のサメ映画『MEG ザ・モンスター』の影響もあり、メガロドンというサメはマニア以外にも広く知られた存在になりました。

サメについて特別関心のない人でも、「全長20級の超巨大ザメ」や「太古の海を支配していた頂点捕食者」という響きには、恐怖なり興味なり、何かしら心動くものがあるのではないでしょうか。

そんなメガロドンは、一般に「絶滅した巨大ザメ」とされていますが、「実はメガロドンは今も生きているのではないか?」という生存説が一部で人気を集めています。

  • メガロドンはどんなサメだったのか?
  • 生存の可能性はあるのか?
  • もし今も生きているとしたらどうなるのか?

今回は、メガロドン生存説の真相というテーマで解説をしていきます。

目次

解説動画:メガロドン絶滅は嘘だった?超巨大ザメの生存説を徹底解説!【古代ザメ】【MEG】

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

※動画公開日は2023年5月10日です。

メガロドンはどんなサメだったのか?

メガロドンは新生代のうち、約2000万年前から360万年前まで生きていたとされるネズミザメ目のサメです(詳細な年代については諸説あります)。

メガロドンが恐竜やモササウルスと一緒に生きていたと勘違いする人も多いのですが、メガロドンが誕生したのは恐竜が滅んだ後の時代だとされています。サメの歴史が4億年以上あることを考えると、比較的新しいタイプのサメですね。

そんなメガロドンが人気な理由は何といってもそのサイズです。

諸説ありますが、全長15~18mに達するとされ、20mを超えるという説もあります。現生のホホジロザメの2~3倍に相当します。

メガロドンの歯は成人男性の手の平にも収まらないようなサイズで、この巨大な歯が「メガロドン」という名前の由来になっています(メガロドンは「大きい歯」を意味します)。

しかも、よく見ると歯の縁がギザギザしていて先も尖っており、クジラなどの大きな獲物を嚙み切るのに適した形状をしています。

実際にそのような食性だったようで、メガロドンと同じ時代のクジラの化石から、メガロドンから受けたと思しき傷や歯の欠片が発見されています。

さらに、この歯の化石が日本を含めた世界中で見つかっていることから、メガロドンは当時の暖かい海に幅広く分布していたと思われます。

メガロドンの歯の化石とホホジロザメの歯の比較。

メガロドンの謎

巨大な頂点捕食者だったと思われるメガロドンですが、実際はどれくらいのサイズだったのか、ハッキリしたことは分かっていません。

先程15~20mという話をしましたが、これらはメガロドンの歯の大きさから推定した値です。

サメは歯以外の骨が軟骨でできているため化石として残りづらく、メガロドンの全身骨格は見つかっていません。

そのため、現在出回っているメガロドンのサイズは、ホホジロザメの歯と全長の関係式にメガロドンの歯の数値を当てはめるなど、いささか無理矢理な方法で算出しています。

2020年にメガロドンのサイズや体格についての論文が発表され、「第一背ビレだけで1.6m以上」、「頭部だけで自動車並みのサイズ」と話題になりましたが、これも他のネズミザメ目の体の大きさから推定した値です。

本当にこれ通りだったのか現在確かめようがありません。

さらに言えば、メガロドンの分類についても諸説あります。

当初はホホジロザメと同じ属で祖先であるとされ、和名は「ムカシオオホホジロザメ」、学名は「Carcharodon megalodon」とつけられていました。

しかし、現在この分類は誤りとされ、すでに絶滅したネズミザメ目のグループ、オトドゥスの仲間「Otodus megalodon」だったとする説が有力です。

メガロドンの姿は巨大なホホジロザメのように描かれることが多く、当サイトでもそうしたイラストを使っていますが、上記のようなことを考慮すると、実際には違った見た目だったと思われます。

そんなメガロドンが絶滅した理由についても、「海水温低下による環境変化に適応できなかった」や「シャチやホホジロザメなどとの競合の中で衰退した」など、様々な説が提唱されていますが、完全には解明されていません。

こうした謎に満ちているところも、メガロドンの人気を後押ししているようです。

メガロドン生存説と根拠

このように、知名度はあるものの謎の多いメガロドンは、「実は生きているのではないか?」という生存説が人気を集めています。

では、生きているとされる根拠は何なのか?生存説の内容をまとめてきました。

証拠写真

メガロドンを映した証拠として有名な、二つの写真が存在します。

まずは一枚目はコチラ。

©Discovery Channel

1942年、南アフリカでドイツの潜水艦を撮影した写真に、とてつもなく巨大なサメの背鰭と尾鰭が写りこみました。

背ビレと尾ビレの距離はおよそ64フィート(約20m)と推定され、「もしこれが一匹のサメのヒレなら、メガロドン以外考えられないのではないか?」と言われています。

続いてはコチラ。

©Discovery Channel

2013年、同じく南アフリカにて。クジラが襲われているところを収めた写真の左側に巨大な背ビレが映っています。

この背鰭の高さは6フィート(およそ180cm)と推定され、その巨大さからメガロドンである可能性が指摘されています。

証拠映像

南アフリカの深海でロボットアームを使っている様子を収めた映像に、巨大なサメの影と思しきものが映っています。

映像内の生物は一瞬で通り過ぎてしまうのですが、映った胸鰭や尾鰭と思しきものから推定すると、サメの大きさは約18m。その大きさから、メガロドンを撮影した貴重映像ではないかと言われてます。

実際の映像はコチラ↓

目撃証言

1918年、オーストラリアのポートスティーブン市の沖合にて。

ロブスター漁をしていた漁師が、ロブスターが30匹ほど入ったカゴを引きちぎっていく、全長30m以上の巨大な白いサメを見たと証言をしています。

他にも、1927年のタヒチで全長10前後のホホジロザメに似たサメを見たという話や、2011年日本の伊豆で同じくホホジロザメ似の全長25mのサメが泳いでいというカツオ漁師の証言など、メガロドンと思しき巨大ザメの目撃談は多く存在します。

尾鰭を噛み千切られたクジラ

2009年ハワイにて、尾鰭から先を失った巨大なクジラが浜に打ちあがっているのが発見されました。

クジラは巨大な生物に噛み千切られた状態で絶命しており、「こんな大きなクジラを襲えるのはメガロドンではないか?」と推測されています。

実際の映像はコチラ↓

化石化していない歯

1954年にレイチェル・コーエン号という船がオーストラリアのアデレードに帰港した際、船体に刺さった17本の巨大な歯を発見しました。

歯の大きさは8~10cmで、口の直径は約2mほど。ここから推定される全長は20mを超えます。

また、深海から化石化していないメガロドンの歯が見つかったという話もあり、今も深海でメガロドンは生きているのではないかと囁かれています。

飲み込まれたタグ

2003年11月にオーストラリアの南西沖でホホジロザメに取り付けられたタグが、後日浜辺に打ちあがっているのが発見されました。

2.7mのホホジロザメに取り付けられたそのタグは、サメ周辺の水温と水深を測定して記録するように設定されていました。

その記録されたデータによれば、そのサメはタグの装着から4カ月後に突然580メートルの深さへ潜り、その際周辺の水温は摂氏8度から26度へ上昇していることが確認されました。

この急な潜水と水温上昇は、何者かに襲われてタグが飲み込まれたことにより起きたと推測され、「3m級のホホジロザメを襲うほどだから、メガロドンではないか?」と言う人がいます。

食い千切られたアオザメ

2019年オーストラリアにて。漁師のジェイソンさんがクロヘリメジロザメを釣っていたところ、体重250㎏はありそうなアオザメがサメに噛みついてきました。

ジェイソンさんはこのアオザメを船に上に引き上げたのですが、アオザメは別の何かに噛み千切られており、頭部から先がほとんど残っていない状態でした。

ジェイソンさんは何がアオザメを襲ったのかは分からないと証言していますが、「これだけ大きなサメを襲って食べるのはメガロドンではないか?」という憶測が流れました。

シーラカンス発見

これは、「絶滅したとされていたシーラカンスも見つかったのだから、メガロドンが生きていてもおかしくない」という主張です。

シーラカンスは今でこそ深海魚のイメージがありますが、実は浅瀬や淡水域でも化石が見つかっており、恐竜たちと同時期に絶滅したと考えられてきました。

しかし、1938年にシーラカンスの仲間が発見および学術的に新種記載され、それまでの常識が覆る大発見になりました。

シーラカンス(Latimeria chalumnae)の液浸標本

この前例があることから「メガロドンもシーラカンスみたいに深海で生き残っているかもしれない」という人が一定数いるようです。

これらの根拠を並べて、「海には分かっていないことが沢山あるから、メガロドンが生きている可能性は十分にある」と締めくくるのがメガロドン生存説のお決まりの流れです。

メガロドン生存説への反論

ここまで、メガロドン生存説の根拠を並べてきましたが、果たしてこれらの根拠で信じていいのか?

結論から申し上げると、根拠が弱すぎて信じるに値しません。

メガロドン生存説は騙されやすい人やオカルトマニアが勝手に盛り上がっているだけであり、現在も生き残っている可能性は非常に低い(実質ゼロ)と思います

何故そう言い切れるのか?順番にご説明します。

『Shark Week』の嘘

実は、今回提示した根拠のいくつかはフェイクであることが分かっています。

先程紹介したメガロドンのものと思しき2枚の写真、深海で撮影された映像、尾鰭を食い千切られたクジラ、これらはディスカバリーチャンネルの番組『Shark Week』の為に作られたものです。

『Shark Week』は実際のシャークアタックの事例などを取り上げることもありますが、メガロドン生存説を取り扱った番組『Megalodon: The Monster Shark Lives』はモキュメンタリー(ドキュメンタリー風に作られたフィクション作品)です。

僕もこの番組を観たのですが、「釣り船が巨大なサメに沈められて全員死亡」という衝撃的なニュースから始まるなど、冷静に見ればフィクションと分かる内容でした。

また、作中に出てくる海洋生物学者コリン・ドレイクを始め、登場人物も役者であることが分かっています(IMDbで調べれば俳優の名前も出てきます)。

フィクションだと割り切ればB級サメ映画よりも面白い気もしますが、本作は本物のドキュメンタリーのように放送したうえで注意書きや訂正もなかったので、

SF番組の方がお似合いだ!

間違いや誤解を招くというレベルではなく嘘

など、研究者やまともなサメ愛好家からかなり批判されています。

改めて写真を見ると、

  • 全長20mを超えるサメが泳いでいるはずなのに、全然それらしい波が起きていない。
  • そもそも1940年代の写真が何故セピア色なのか。
  • ナチスは写真の右上に透かしなんて入れない。
  • クジラを食べに来てる場面なら、何故噛み付く瞬間や顔の写真はないのか。

など、ツッコミどころが満載です。

ちょうどよくサイズの基準になる物体と一緒に、水面から出たヒレだけ写っているという構図も怪しいです。

恐らく、はっきりとサメの姿を写すと逆に怪しさが出て合成がばれやすいので、背鰭だけの方がフェイクを作るには都合が良かったのだと思います。

目撃談は根拠にならない

科学的な検証において、体験談や目撃談は最低ランクの証拠になります。

幽霊のことを考えると分かりやすいと思いますが、目撃談を根拠にしてしまうと、以下のようなリスクがあります。

  • 「霊を見た!」と嘘をつく人のリスク
  • 単なる見間違いをお化けだと思い込む人のリスク
  • 本人に科学の知識がないため自然現象を幽霊や祟りと勘違いしてしまうリスク

もちろん、目撃談をもとに調査してより確実な証拠を集めたり、複数の証拠の中の一つとして扱うことはありますが、目撃談だけでは当てになりません。

巨大生物というのは話題性があるため、ホラ話や誇張された数値が出回ることがよくあります。目撃談を全て鵜呑みにしていたら、世界中が『キングコング』の島みたいになってしまうでしょう。

また、体格がホホジロザメに似ていて10mを超えることもあるウバザメというサメは実在するので、ウバザメを見間違えた可能性もあります。

メガロドンも幽霊と同じで、目撃談が多いというだけで存在を肯定することはできません。

ウバザメ。ホホジロザメと同じくネズミザメ目のサメで、全長10mを超えることもあります。

歯の実物は残っていない?

レイチェル・コーエン号の事例では、船体に刺さった歯が残っているはずですが、そうした歯が保管されていたり学術的に分析されたという記録は見つかりませんでした。

また、深海で化石化していないメガロドンの歯が見つかったという話についても、『サメガイドブック』という本にその話が載っているだけで、学術的な記録はないようです(この本は研究者ではなく海洋フォトジャーナリストが出版したもので、知識面において怪しい部分が他にもあります)。

冷静に考えれば分かりますが、メガロドンの生存を裏付ける歯が見つかれば、海洋生物学、古生物学における超重大発見ですから、実在するなら博物館展示や学術論文など、何かしら記録が残っているはずです。

それがないのであれば作り話か、学術的に認められない代物であると疑うべきです。

捕食したのがメガロドンとは限らない

メガロドン生存説が挙げる根拠には、飲み込まれたと思しきタグや噛み千切られたアオザメなど、事実に基づいた根拠もあります。

しかし、これらがメガロドンの仕業だとする根拠はありません。

サメが自分より小さなサメを襲うことはよくあるので他のサメ類かもしれませんし、シャチが襲った可能性もあります。

「大きな生物や凶暴と思われている生物が襲われた。だからメガロドンかもしれない」というのはあまりにも短絡的で都合のいい考え方です。

メガロドンは深海で生きているのか?

ここまで読んで、

よく言われている証拠が弱いだけで、人目につかない深海で生き残っている可能性もあるのでは?

という人もいると思います。

しかし、今から述べる理由により、メガロドンが深海に潜んでいる可能性はないと言い切っていいと思います。

深海は資源が少ない

メガロドンの生態については分かっていないことも多いですが、化石が採集された場所や歯の形状からして、以下のような情報は事実だと思われます。

  • 世界中の暖かい海に分布していた。
  • 現生のホホジロザメよりも大きな巨大ザメである。
  • クジラなどの大きな獲物を襲っていた。

そんな巨大ザメが深海で生き残るには、彼らを支えるようなクジラや他の大型サメ類などのエサが沢山必要であり、さらにそのエサを支える沢山の魚が必要で、さらにその魚たちが食べる小さな生物が膨大に必要です。

また、メガロドンがホホジロザメに似た生態を持つ捕食者だったなら、奇網と呼ばれる血管構造により、ホホジロザメやアオザメ同様、高い体温を維持していた可能性があります。

体温が高いと素早く動けるため海棲哺乳類を襲うのに有利ですが、その分沢山のエネルギーを消費します(つまり多くのエサが必要です)。

しかし、一次生産者のいない深海環境の資源は限られており、深海の生物たちだけでメガロドンを支え切れるとは到底思えません。事実、深海に生息する高次捕食者たちは身体が小さいか、表層と深海を行き来していることが多いです。

そもそも、メガロドンにとってのご馳走である大型鯨類が豊富な表層に姿を見せず、深海に引きこもっているという発想が理解不能です。

メガロドンは浅瀬で子育てしていた?

最強の捕食者というイメージの強いメガロドンですが、幼魚の頃は餌が豊富で天敵が少ない浅瀬で過ごしていた可能性があります。

英国ブリストル大学をはじめとする研究チームは、小さなメガロドンの歯の化石が見つかった記録などをもとに、スペインやアメリカ、ペルーなど複数の地域の沿岸域がメガロドンが幼少期に過ごす生育場所だった可能性を指摘しました。

現生のサメ類にも幼魚の時に浅瀬やマングローブ林、あるいは淡水域で過ごすサメは多くいるため、メガロドンがこうした生態を持っていても不思議ではありません。

海草の生えた浅瀬を泳ぐニシレモンザメの幼魚。幼少期に浅瀬などで過ごすサメは多くいます。

この研究成果が正しいと仮定した場合、メガロドンの成魚が外洋や深海にいるとしても、幼魚およびそれを産みにきた母ザメが沿岸で目撃または捕獲されているはずです。

しかし、信頼できる記録は存在しないため、やはりメガロドンは絶滅したと考えるのが妥当だと思われます。

シーラカンスと悪魔の証明

ここまで聞いて、

海は未解明なことも多いから生き残っている可能性はゼロじゃない!

シーラカンスの事例があるんだから、「絶対いない」とは言い切れないじゃん!

という人もいると思います。

しかし、これは俗に「悪魔の証明」とよばれる、オカルト界隈がやりがちな詭弁・戯言です。

例えば、「空を飛べる人間がいるか?」という議論があった時、肯定する場合は飛行能力を持つ人間を一人連れてくれば立証責任を果たせます。

しかし、否定する場合はどうでしょう?

まず、地球上の70億人全員を調べる必要があります。

この時点で無理ですが、仮に実行して「誰も飛行能力を持っていなかった」と結論を出せても、

  • 「調査の時に漏れただけかもしれない」
  • 「調査の時はたまたま飛べない条件だったのかもしれない」
  • 「地球にいなくても、宇宙の果てに存在するかもしれない」

など、想定される全ての可能性をつぶさないといけません。

ハッキリ言って、存在の完全否定は不可能です。

本職の科学者の方が何かの存在を否定するときに「可能性がかなり低い」「非常に考えづらい」のようなスッキリしない言い方をするのもこれが理由です。

しかし、「完全否定が不可能だから存在する」としてしまうと、神、幽霊、ポケモンなど、何でもありになってしまいます。

そのため、「○○が存在するかどうか」という議論をする際、立証責任は常に肯定する側にあります。

つまり、「可能性がゼロじゃないから存在する」や「存在しないという証拠を出せ」という理屈は許されず、肯定する側は存在を証明する明確な証拠を提示しなければなりません。

シーラカンスについては、標本という明確な証拠があり、調べた結果を学術的に認められる形でまとめた論文もあります。つまり、肯定側が立証責任を果たしています。

一方のメガロドン生存説は、シーラカンスに比べると証拠があまりにも弱く、「可能性はゼロとは言い切れない」「深海を調べ切れていないから断言できない」と屁理屈を述べるだけ。立証責任を果たしているとは到底言えません。

よほど強力な新しい証拠が提示されない限り、「信じるに値しない。あり得ない」と言い切ってしまって問題ないと思います。

もしメガロドンが生き残っていたら?

最後に、それでもメガロドン生存説を捨てきれない方のために、「メガロドンがもし生きていたら?」という前提で考えてみようと思います。

メガロドンが衰退した原因には諸説ありますが、何かしらの原因で深海へ逃れてきて、人目に付く表層には姿を見せず、深海の奥深くでずっと暮らす生活スタイルになったと仮定します。

すると、今までとは異なる自然淘汰にさらされたメガロドンたちは、世代を経るごとに別の姿に進化すると予想できます。

まず、深海はエサが少ないので、エサが沢山必要な大きな個体は生きていけなくなるでしょう。身体が小さい方が生存に有利になり、全体的に小型化します。他の深海ザメや深海魚の大きさを考えると、2~5m前後が妥当な気がします。

次に、深海で暮らすサメは少しでも多くの光を吸収しようと目が大きくなりがちで、タペータムという反射板が発達するため、エメラルドのように輝いて見えることが多いです。

また、より小さな獲物を食べるなら、歯も変わるでしょう。多くの深海捕食者がそうであるように細長く尖った刺すタイプの歯になっていくか、幅広い獲物を捕食できるよう、イタチザメなどに近い形になるかもしれません。

ミツクリザメの歯。エサの少ない環境で確実に獲物を捕らえるためなのか、深海に棲む捕食者は細長い歯をしていることが多いです。

さらに、体格も変わります。

メガロドンは本来クジラなどを襲う高速遊泳に優れた捕食者だったと思われますが、深海を泳ぐ動きの遅い小さな魚を襲うのにそこまで早い必要はありません。むしろ、エネルギーを余計に消費して生存に不利になる可能性すらあります。

実際、メカニズムについては諸説ありますが、水深が深い場所にいる魚は動きが遅くなる傾向があります。

そのため、ホホジロザメやアオザメに見られるような筋肉質な体ではなく、ミツクリザメのようにもっと細い、あるいはペラっとして水っぽい体に進化すると考えられます。

以上の仮説をまとめると、メガロドンの子孫がもし深海で生き残っていた場合、全長は10mにはるか及ばない大きさで、目が大きく、歯の形も三角形ではない、どこか細長い見た目のサメになると予想できます。

もしメガロドンが深海で生きていたら、こんな姿になっているかもしれません。

つまり、万が一メガロドンの生き残りがまだいたとしても、世間一般でイメージされる姿ではなくなっている可能性があるわけです。

というより、もはやメガロドンから進化した別種のサメと言えそうです。

もちろん、200~300万年という期間でここまでの変化が起きるのか疑問ですし、進化に決まった道筋はありません。

しかし、メガロドンが生きていると本気で主張するなら、最低限ここくらいまでは考えてほしいなと思います。

あとがきにかえて

以上がメガロドン生存説の真相ともしメガロドンが生きていたらの解説でした。

ここまで読んでいただき「夢をぶち壊された」と思う人もいるかもしれませんが、メガロドンが生き残っていなくても、現生で確認されているサメだけでも十分に魅力的で面白いので、安心してください。

地に足をつけた現実的な考えを持ちつつサメを楽しむことは十分に可能なので、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

参考文献

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コメント

コメント一覧 (2件)

    • コメントありがとうございます。
      承知致しました。差し支えなければ記事のリンクもぜひコンテンツ内に貼っていただければ幸いです。

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