ジョーズもMEGも例外なし?サメ映画のツッコミどころを解説!

金字塔とされる『ジョーズ』の公開以降、数々のサメ映画が作られてきました。

『MEG ザ・モンスターズ2』のように一般の方にもオススメできる正統派の作品がある一方、サメが空から飛んでくる、サメが砂の中を泳ぐ、サメが月面に文明を築くなど、トンデモ設定のB級・Z級映画の勢いも凄まじいです。

サメ映画を語る際はそうしたトンデモ作品に目が行きがちですが、実はA級とされる作品の中にもツッコミどころが存在します。

今回は現実のサメの特徴や生態を考えるうえで取り上げる価値のあるサメ映画のツッコミどころを紹介していきます。

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解説動画:ジョーズもMEGも例外なし?サメ映画のツッコミどころを解説!

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ジョーズもMEGも例外なし?サメ映画のツッコミどころを解説! 金字塔とされる『ジョーズ』から始まり、良くも悪くも数多くのサメ映画が作られてきました。もはやジャンルそのものがツッコミどころと化したサメ映画ですが、そんな中にも...

※動画公開日は2023年1月1日です。

サメが人を喰いすぎ

サメ映画の根幹にかかわる問題ですが、サメ映画ではサメが人を喰いすぎだと感じます。

これは「そもそもほとんどのサメは人間を積極的に襲わないし、サメによる犠牲者数は世間でイメージされているよりも非常に低い」という統計やイメージの話ではなく、サメの食欲や代謝の問題です。

いわゆるA級とされるサメ映画でも、一尾のサメが1日や2日など短期間のうちにひたすら人間を喰いまくったりします。

しかし、サメの普段の食事量を考えれば、あの食欲は異常と言わざるを得ません。

『ジョーズ』をはじめとするほとんどのサメ映画で人を襲うサメ、ホホジロザメにバイオロガーという記録計を付けて、彼らの遊泳速度などを映像付きで記録した研究があります。

この調査を行った渡辺佑基さんは遊泳スピードなどをもとにし、体重450Kgのホホジロザメが必要な食事量はオットセイの子供なら10日に1度、成熟個体なら30日に1度ほどだろうと推定しています。

逆に言えば、毎日大きな獲物をバクバク食べなくても、ホホジロザメは平気ということになります。

エサに噛みつくホホジロザメ

もちろん厳しい自然界でこれだけしか食べられなかったというだけで、簡単に食べられるエサが豊富にあればもっと食べるはずという解釈もできますし、油をたっぷり含んだオットセイと人間では単純な比較は難しいです。

しかし、それにしても1日に何人も食べるのは無理がありますし、ある程度食べたら次の場所へエサを探しに行くと思います。

したがって、『ジョーズ2』や『ロスト・バケーション』のように、ホホジロザメが1日に2~3人を食べてしまうのは明らかに食べ過ぎでしょう。

また、『レッド・ウォーター サメ地獄』に登場するオオメジロザメは1日に3人くらい食べており、フードファイトをしているとしか思えません(オオメジロザメはホホジロザメより体が小さく代謝も低いはずなのに)。

以上を考えたうえで『ジョーズ』を見返してみると、サメが人を喰いまくっているように見えて、実は数日おきに一人以下のペースでしか食べていません。

そもそも人間ばかり襲うという設定は荒唐無稽ですが、食事量という観点からみれば『ジョーズ』はまだリアリティがある作品だと言えそうです。

サメが水中で停止する

サメ映画では勢いよくサメが噛みついてくるシーンだけでなく、サメが背後からゆっくり迫ってくるホラー演出も楽しむことができます。

『MEG ザ・モンスター』でメガロドンがメイインに迫ってくるシーンが代表的ですが、『海底47m 古代マヤの死の迷宮』の恐怖演出も素晴らしかったです。

このように激しい恐怖と静かな恐怖のメリハリがあるのが良いサメ映画の特徴ですが、残念ながらゆっくり迫ってくるサメというのは無理があります。

なぜなら、サメは体の構造上ゆっくり泳ぎすぎると沈んでしまうからです。

サメ類ではない”普通の魚”(硬骨魚類)の多くは体内にウキブクロを持っているため、非常にゆっくりな速度で泳いでいるか、ほぼ静止した状態でも沈むことなく浮力を保つことができます。

しかし、サメやエイなどの軟骨魚類はウキブクロを持っていません。

サメ類は油を多く含んだ大きな肝臓を浮力の源にしていますが、肝臓の油だけではウキブクロ程浮力が生まれることはないようで、ほとんどのサメはある程度の速度で泳ぎ続けないと沈んでしまいます。

ホホジロザメの肝臓。
サメの肝臓の切れ端を水に入れると浮きます。

さらに言えば、サメ映画で人を襲うサメのほとんど(ホホジロザメ、アオザメ、オオメジロザメなど)が、泳ぎ続けることでエラに酸素を送り届けるラム換水をするサメです。

したがって、速度を落としすぎたり静止すれば呼吸が上手くできず、彼らの命が危うくなってしまいます。

もしゆっくりと迫ってくる演出をするのに相応しいサメがいるとすればシロワニでしょう。

シロワニは水面から空気を吸って胃の一部に溜め込み、ウキブクロの代わりにして浮力を保つことができます。

シロワニはそもそも非常に大人しく現実世界で人を襲うことはほとんどありませんが、一応『シャーク・ナイト』という作品で登場しているので、今後ゆっくりとシロワニが迫ってくるサメ映画が作られるのかもしれません。

シロワニ

背ビレだけを見せつけて迫ってくる

サメ映画では、サメの存在を示すために背ビレだけ登場させるシーンが数多く存在します。

元祖『ジョーズ』の撮影都合から生まれたサメ映画の伝統であり、いまや映画に関係なく三角形の背ビレはサメのアイコンとして知られていると思います。

これ自体は別に問題がありませんし、実際にサメが水面から背びれを出して泳ぐことはあるのですが、人を襲うつもりのサメが水面から背ビレを出して真っすぐ向かってはこないと思います。

サメ映画によく登場するホホジロザメなどが人間などの大型動物を襲う際、底の方から上に向かって突き上げたり、急にスピードを出して突進するように襲ってくることが多いです。

ホホジロザメがドローンを攻撃する瞬間↓

イタチザメがカヌーを攻撃する瞬間↓

下から上に向かって一気に距離を詰める戦法であれば、背中側の暗い色が海底や深みの暗さにまぎれてカモフラージュになりますし、不意打ちできれば相手に逃げられるリスクも抑えられます。

さらに、上から下よりも下から上の方が、空中という自由に泳ぎ回れない領域に相手を追い込むことができるという点でも有利です。

実際に発生したシャークアタックの事例を調べていると、水面でサメが追いかけてきて襲われたという事例はほとんどなく、水面近くにいたところを下から噛まれたり、遠巻きにグルグル回っていたサメがいきなり向かってきたという事例の方が多いです。

サメ映画で水面から背びれを見せつけるようにして真っすぐ向かってくるサメを見ていると、よく言えば真っ向勝負が好き、悪く言えば頭悪いサメだなぁと感じます。

もう一つ背ビレに関して付け加えると、サメは尾ビレが上下に分かれた形をしているため、第一背ビレが水面からはっきり見える状況であれば、尾ビレ上葉も見えるはずです。

『ロスト・バケーション』や『海上48hours 悪夢のバカンス』など、サメのビジュアル面に力を入れているA級作品だと、このあたりが良く再現されているので是非注目してみてください。

水面からヒレが出るサメのイメージ図。第一背ビレがはっきり見える状態であれば尾鰭上葉も水面から出るはずです。

メガロドンの扱いが雑

絶滅した巨大ザメとして有名なメガロドンが出てくるサメ映画も数多く存在します。

一番有名なのは『MEG ザ・モンスター』シリーズだと思いますが、他にも『ザ・メガロドン』シリーズや『ディープ・ライジング・コンクエスト』、『ジュラシック・シャーク』などがあります(MEG以外はそこまで見る価値がありません)。

絶滅したはずの巨大ザメが大暴れするという設定自体はロマンのあるものですが、このメガロドンにも問題があります。

メガロドンがデカすぎる

メガロドンは確かに大きいサメとされていますが、大きな船を噛み砕いたり、何人もの人を掃除機みたいに飲み込んでいくのはやり過ぎに思えます。

『MEG ザ・モンスター』シリーズの23mという時点で危ういのですが、一番酷いのが『ザ・メガロドン』シリーズで、全長60mとかいう意味不明のサメが出てきます。もはやメガロドンではありません。

こうした無茶苦茶な再現は、メガロドンの正確な最大全長が分かっていないことに起因していると思われます。

メガロドンに限らず、サメやエイなどの軟骨魚類は文字通り骨格のほとんどが分解されやすい軟骨でできており、歯以外の化石が残ることは非常に稀です。

メガロドンも歯や脊椎以外は見つかっておらず、全身の大きさは推定をするしかないのです。

メガロドンの歯の化石。
メガロドンの脊椎骨(化石)

ここまで聞くと、「分かってないなら30mの可能性もあるじゃん」とか言い出す人がいそうですが、20mや30mという数値は、大きな歯が口の中全てにズラッと並んでいたと仮定して計算するなど、結構無理やりな方法で算出されていることが多いです。

メガロドンと同じくネズミザメ目のサメであるアオザメの顎を見てみると、口の前の方と奥の方で明らかに歯の大きさが違います。こうした歯の違いを考えずに計算する方法は乱暴と言わざるを得ません。

どちらもアオザメ(同一個体)の歯で、左が前の方の歯、右が奥の方の歯です。

メガロドンがどれくらい大きかったのか正確に算出するのは不可能に近いものの、エネルギー効率や顎を動かすのに必要な筋肉など諸々を考慮すると、現実的には10m前後(大きくても15~16mいくかどうか)というサイズだったと思います。

デカいサメが暴れ回る作品を作るのは自由ですが、20mを超えてくる場合は「メガロドン」として出さないで欲しいまでありますね。

恐竜とメガロドンは共存していない

メガロドン以上に有名な古生物と言えば恐竜でしょう。

この古生物=恐竜みたいなイメージがあるためか、過去へのタイムスリップや太古の地球を描く際に恐竜を登場させることがよくあります。

『MEG ザ・モンスターズ2』がまさにそうですね。四足歩行のトカゲみたいな生き物をティラノサウルスが襲って、そのティラノサウルスにメガロドンが噛みつくシーンがありました。

当該のシーンはコチラ↓

しかし、古生物学的にはこの場面はNGです。

これまで見つかった化石の記録により、メガロドンは新生代と呼ばれる時代のうち約2000万年前から360万年前まで生きていたとされています。

一方の恐竜たちについて、ほとんどの恐竜を滅ぼしたK/Pg境界の大量絶滅は6600万年前に起こったとする説が主流です。

もちろん細かい年代については諸説ありますし6600万年前に全ての恐竜が一瞬で死に絶えたわけではありませんが、それでも恐竜とメガロドンの間には4000万年近い時間の間隔があり、両者が同じ時間軸で生きていたとするのはあまりにも無理があります。

そのため、恐竜とメガロドンを一緒に描くのは幕末の物語に自衛隊が出てくるくらい奇妙ですし、「ジュラシック」というタイトルでメガロドン映画を作るのは間抜けです。

『ジュラシック・パーク』のように時代関係なく古生物を蘇らせた設定でもない限り、恐竜とメガロドンを一緒に描くのはナンセンスと言っていいでしょう。

まとめ

以上がサメ映画におけるツッコミどころの解説でした。

今回の内容をまとめると以下の通りです。

  • サメ映画では一尾のサメが短期間に何人も食べてしまうことがありますが、サメの通常の食事量を考えれば明らかに食べ過ぎです。
  • サメ映画ではサメがほとんど静止した状態で浮いていたり非常にゆっくりと泳ぐことがありますが、サメは一定の速度で泳ぎ続けないと沈んでしまいます。
  • サメが獲物を襲う時は下の方から不意打ちしたり急にスピードを出して襲ってくることが多いため、サメ映画で描かれるように水面から背ビレを出して真っ直ぐ襲ってくるとは考えづらい。
  • サメ映画のメガロドンは極端に大きく描かれやすく、恐竜と一緒に描かれるなど古生物学的な知見と矛盾するようなシーンも散見される。

もちろん映画なので全てを科学的に正しく描けとは言いませんが、あくまで脚本とか演出の都合なんだよっていうのを理解して、現実のサメとの区別をつけたうえで楽しんでいただければ良いのかなと思います。

参考文献

  • The Natural History Museum(Josh Davis)『Megalodon: the truth about the largest shark that ever lived』(2024年1月2日閲覧)
  • 土屋 健 (著), 田中 源吾 (監修), 冨田 武照 (監修), 小西 卓哉 (監修), 田中 嘉寛 (監修)『海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲』2018年
  • 渡辺佑基『進化の法則は北極のサメが知っていた』2019年

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