サメによる犠牲者が世界で2倍に!シャークアタックの最新事情を解説!【人喰いザメ】【獣害事件】

2023年のシャークアタックについて解説した記事サムネイル

2023年に起こったサメの事故をまとめた調査によって、サメによる死亡事故が昨年の倍に増えていることが明らかになりました。

この情報だけを見せられると「人喰いザメが増えているのか・・」と心配に思う人もいるかもしれません。

では、どのような事故が、どこで何故起きているのでしょうか?

本記事では2023年に起きたシャークアタックの詳細を紐解いていきます。

目次

解説動画:サメによる犠牲者が世界で2倍に!シャークアタックの最新事情を解説!【人喰いザメ】【獣害事件】

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

※動画公開日は2024年3月3日です。

2023年に発生したサメ関連の事故

本記事の内容は、米国のフロリダ自然史博物館がまとめているInternational Shark Attack File(以後ISAF)に基づいています。

ISAFは世界中で起こったサメが関係していると思しき事故を調査し、起こった場所やサメの種類などをまとめているデータベースです。

ISAFが2023年に起きたサメ関連と思しき事故120件を調査した結果、「Unprovoked bite」が69件、「Provoked bite」が22件、「その他」が29件という結果でした。

「Provoked bite」は、人間側に誘発されてサメが人を噛んだケースを指します。

  • ダイバーがサメに無理に触ろうとした
  • スピアフィッシングで魚を捕まえていた
  • サメに餌付けをしていた
  • 釣り上げたサメの針を外そうとしていた

上記のような状況はサメにこちらから危害を加えたり、意図的ではなくてもサメの攻撃を誘発するような行為をしているので、「Provoked bite」に分類されます(必ずしも噛まれた人に非があるわけではないので注意)。

対する「Unprovoked bite」はサメを誘発していないのに人間が襲われたケースを指します。

「その他」はサメがボートや遺体を噛んだケース、水族館内での事故、情報不足のものやサメによる事故か疑わしい事例など、「Provoked」にも「Unprovoked」にも分類されないものです(ISAFのデータではより細かい内訳が公開されています)。

「Provoked bite」でも「Unprovoked bite」でも避けるべき事故であることに変わりありませんが、サメのことを理解して事故を減らすうえでは、「Unprovoked bite」の原因を解明する方が重要になります。

サメによる死者数が昨年から倍増

ここからは「Unprovoked bite」の詳細をご紹介します。

「Unprovoked bite」69件の内訳を国別にすると以下の通りです。

件数が最も多いのは去年に引き続きアメリカで36件。続いてオーストラリアの15件。それ以降は一桁でニューカレドニア、ブラジルの3件、エジプトと南アフリカが2件。他は全て1件ずつという結果になっています。

今回話題になったのは、このうちの死亡件数です。

69件の「Unprovoked bite」のうち、被害者が亡くなってしまった件数は10件でした。

2022年に起きた「Unprovoked bite」が57件、そのうち死亡件数は5件だったので、今年は事故件数自体が増加、死亡件数は倍増したことになります。

なぜオーストラリアで死亡事故が多いのか?

今回死亡者数が特に多かったのはオーストラリアです。

件数自体はアメリカの半分ほどなのに、死亡事故数がアメリカを上回る4件となっています。

実はこのうち3件は全て、南オーストラリアでサーフィン中に発生しているという共通点があります。

5月13日 エア半島での事故

最初の事故が起きたのは5月13日の朝、場所は南オーストラリアにあるエア半島ウォーカーズロックビーチです。

岸から30~50mほど離れた場所でサーフィンをしていた46歳の男性サイモン・バッカネロさんがサメに襲われました。

事故のすぐ後に懸命な捜索が行われたもののバッカネロさんは見つからず、千切れたウェットスーツとサーフボードの一部と思しき物体しか回収できなかったそうです。

10月31日 エア半島での事故

次の事故が起きたのは10月31日の朝、場所は同じくエア半島のストリーキー・ベイです。

サーフィンをしていた55歳の男性トッド・ゲンデルさんが、4.2mほどのサメに襲われるのを目撃された後行方不明になりました。

こちらもサーフボードは回収されましたが、男性の遺体は見つかっていません。

12月28日 ヨーク半島での事故

3件目の事故は12月28日の午後1時半ごろ、場所はエア半島からほど近いヨーク半島のエサルビーチでサーフィンをしていた15歳の少年カイ・カウリーさんがサメに襲われました。

この時はカウリーさんの回収に成功して救急措置も行われましたが、残念ながらカウリーさんは亡くなってしまいました。

ホホジロザメが見間違いで襲っている可能性

事故が起きた場所や目撃証言などから、これら一連の事故はホホジロザメによるものだと推測されています。

ホホジロザメは最大全長が6m近くになる大型のサメで、大型魚類だけでなく海生哺乳類も捕食するハンターです。そしてISAFのデータ上、最も多くの死亡事故を起こしている危険ザメNo.1でもあります。

エア半島やヨーク半島の近くには鰭脚類のコロニーがあり、ホホジロザメにとって重要な狩場です。そしてサーフボートに乗った人間が水面に浮かぶシルエットは、彼らの獲物であるアシカやアザラシのそれによく似ています。

このことから、ホホジロザメが本来のエサであるアシカなどとサーファーの姿を間違って襲っているという説が濃厚です。

鰭脚類に襲い掛かるホホジロザメ

加えて言えば、これらの事故が起きている場所はサーファーには人気ですが、いわゆる穴場的な場所です。

人気な海水浴場にあるような安全策がとられていないため、サメによる事故が起きやすく、サメに噛まれた場合の救急措置が遅れやすいという点でも危険な場所と言えます。

もう一件の事故は川で発生

4件中3件は南オーストラリアで発生した事故ですが、もう1件の死亡事故は川で起こりました。

2月4日の午後3時ごろ、西オーストラリアのスワン川の河口近くを泳いでいた16歳の女性ステラ・ベリーさんが、オオメジロザメに噛まれて亡くなっています。

オオメジロザメはホホジロザメ、イタチザメに次いで最も多く死亡事故を起こしているサメであり、淡水への適応能力が高く川に遡上してくることでも有名なサメです。

川で遭遇するのは体の小さな幼魚であることが多いので、今回のようにオオメジロザメに川で襲われて亡くなるケースは非常に稀だと思います。

オオメジロザメ

2023年のサメの事故は異常に増えているのか?

以上のように、2023年は全体の事故件数とそのうちの死亡者数、どちらも前年より増えてしまうという結果でした。

しかし、これだけの情報で「人喰いザメが増えてる!」などと騒ぐのは早計です。

「増えたかどうか」だけではなく、「増え方が異常なのか」にも注目する必要があります。

長期的なトレンドからは外れていない

「Unprovoked bite」発生件数の過去5年間における平均は63件です。2023年は若干オーバーしていますが、そこまで大きな上昇を見せているわけではありません。

「Unprovoked bite」における死亡件数も、過去5年間の平均は6件ほどです。「昨年から倍増」という情報だけ聞くと物凄い増加に思えますが、長期的なトレンドからは外れていないと言えます。

むしろ、アシカ類を襲うホホジロザメが数多くのいる海域でアシカと間違われるような姿で海に入る人が沢山いるのに死亡事故が3件という結果は、逆にサメに襲われる確率がいかに低いかを表しているようにすら感じます。

ISAFの管理をしている研究者ギャヴィン・ネイラー博士も「今年の死亡件数の増加には確かに怖いものがあるが、通常の件数の範囲内」とコメントしています。

人が増えればサメの事故も増える

サメによる事故が増加するとしても、それはサメの個体数が増えたり凶暴性が増したせいではなく、より多くの人間が海に行くようになったからというのが大きいでしょう。

実情がどうかとは別として、世間的にはパンデミックが落ち着いたという空気感になっており、リゾート地を訪れる人は世界全体で増加しています。

「Unprovoked bite」が最も多く発生している米国フロリダ州を訪れる観光客の数も、国内から訪れる人はすでにコロナ禍以前の水準まで回復し、国外からの観光客数も回復傾向にあります。

海に入る人の数が多くなれば、自然と危険なサメと出会う確率も上がり、結果的に不幸な事故が増えてしまいます。車と人が多い地域の方が交通事故が多いのと同じ理屈です。

サメの事故を防ぐことは重要ですが、短期的なトレンドだけで増えた増えたと騒ぐのは賢くありません。

シャークアタックの事例を取り上げるなら、「どのような事故が何故起きるのか?」という細かい部分まで見ていくべきだと思います。

参考文献

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