竹島水族館の魅力3選!巨大ガニに触れる?魚の履歴書がある?クセが強すぎる展示の数々を紹介!

先日、愛知県蒲郡市にある竹島水族館に展示されたカグラザメを解説する記事をアップしたのですが、実はこの時初めて竹島水族館を訪れました。

規模としては非常に小さな水族館ではあるものの、カグラザメ以外の展示もなかなかに面白かったので、今回は竹島水族館(タケスイ)の魅力というテーマで3つのポイントを解説をしていきます。

目次

解説動画:竹島水族館の魅力3選!解説のクセが強すぎ?巨大ガニに触れる?小さいけど見どころ満載!【タケスイ】【タカアシガニ】

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

※動画公開日は2022年11月11日です。

魅力その①:タッチプールがすごい

タカアシガニに触れる!

竹島水族館の魅力の一つ目が、入ってすぐのところにあるタッチプール「さわりんプール」です。

タッチプール自体は他の水族館でもよく見かけますが、普通タッチプールで触れるのはヒトデ、ナマコ、ヤドカリなどです。他に例を挙げれば、ドクターフィッシュ(ガラルファ)に角質を食べてもらう場合もあります。

しかし、タケスイの「さわりんプール」には一年を通して深海生物に触ることができ、その中には世界最大のカニ、タカアシガニも展示されています。

こんな展示は日本で(恐らく世界ででも)ここだけです。

実際の「さわりんプール」
もちろん触ってみました。

ご覧の通り、普通にデカい個体を展示しています。ハサミは指を砕くほどのパワーがあるためテープで封じてありますが、それでも十分すぎる迫力です。

館長の小林龍二さんによると、普通の水族館はタカアシガニが簡単に手に入らないので、このような展示は難しいそうです。

しかし、竹島水族館は他の園館に譲れるほどタカアシガニのストックがあり、タッチプールで受けたストレスで弱ってしまう前にすぐ交代できるため、このような展示の実現と継続が可能なのです。

見世物として派手な展示をしているのではなく、生き物たちに配慮したうえで、自分たちの強みを活かしているわけですね。

「さわりんプール」では他にも、深海のアイドルであるオオグソクムシ、触ったら痛そう(優しく触れば大丈夫)な見た目のイガグリガニ、大きなナヌカザメなどの生物に触ることができます。

オオグソクムシ。ダイオウグソクムシとは別種なので注意!
イガグリガニ。ギュッと握らなければ痛くありません。
ナヌカザメ。抱き枕になるくらい立派な個体です。

デカい生物と冷たい水温による理想的な展示

ここまでが「さわりんプール」の紹介でしたが、深海生物に触れるという珍しさに加えて個人的に評価したいポイントがあります。

それが、水温が低いこと、そして展示生物が大きいことです。

僕も水族館でタッチプールの監視員をやったことがあるので分かるんですが、タッチプールではよくお客さんが生き物を水から出したり、同じ個体を何度もいじくったりします。

当たり前の話ですが、そうすると生き物たちが弱ってしまいます。

普通に考えれば海の中の生き物を水から出すべきではないと分かりそうですが、毎回誰かしらがやってしまいますし、注意の仕方を気を付けないとトラブルになりかねません。

しかし、タケスイのタッチプールの生物は水から出そうなんてまず思わないほど大きいです(グソクムシ除く)。というより、子供が嬉々として触るにはやや大きすぎるくらいです。

さらに、深海性の生物ということで水温が低く設定されているため、長時間水に手を入れているのが辛いです。そのため、ずっといじくりまわされて弱ってしまうリスクも抑えることができます。

もちろん生き物の感触や触った時の反応も含めて体感で学んでもらうのがタッチプールの醍醐味だと思いますが、やはり相手は生物なので、展示個体の健康状態を良好に保つことも重要です。

造的に生物へのストレスがかかりにくい設計がされている「さわりんプール」は、生き物にやさしく、来館者との無用なトラブルも少ない、理想的なタッチプールの一つの形だと思います。

魅力その②:さりげなくレアな生物がいる

次に紹介したいタケスイの魅力は、さりげなくレアな生物が展示されているということです。

今回訪れたきっかけはカグラザメの幼魚は激レア中の激レアですが、竹島水族館にはカグラザメ以外にも、他の水族館であまり見られないような珍しい生物が展示されています。

まずはコチラ、アリゲーターガーの白変種です。

めちゃくちゃカッコよく、そして神々しいですね。

アリゲーターガーの白変種を展示しているのは、日本でタケスイだけというわけではないですが、かなり珍しいと思います。

補足:白変種とアルビノの違いについて

体が白い個体はよくアルビノと呼ばれますが、今回紹介したアリゲーターガーは「白変種」であり「アルビノ」とは完全に別物です。

アルビノはメラニンという色素が遺伝的な理由などで作れない個体を指します。

その影響で、アルビノは肌や毛の色が白というより黄色に近かったり、本来黒いはずの瞳の色別の色になったりします(アルビノ=全身真っ白で赤い目というイメージがあると思いますが、髪の色が金に近かったり、瞳が青みがかっているアルビノの人も多いです)

一方の白変種は体を白くする遺伝情報を持っているだけで、メラニンの働きは正常です。

そのため、肌や体毛の色は真っ白に近く、瞳の色は普通の個体と変わりません。また、トラなど模様を持つ動物の場合は、模様がそのままだったりします。

続いてはコチラ、タンビコモリザメの赤ちゃんです。

お饅頭みたいな頭をしていて、ちびっちゃいサンショウウオに見えますが、サメの仲間です。

テンジクザメ目というグループのサメなので、広い分類で言えばジンベエザメやトラフザメに近いと言えます。

タケスイ唯一の展示というわけではありませんが、東アフリカ沿岸など限られた海域に生息する珍しいサメで、日本国内での展示例は非常に少ないです。

タケスイではそんな珍しいタンビコモリザメの繁殖に成功しているため、成魚と幼魚の両方の姿を観察することができます。

最後はコチラ、アシボソシンカイヤドカリです。

なんとも奇妙な形の貝殻を背負っているなと思うかもしれませんが、これは貝殻ではなくスナギンチャクという刺胞動物です。

過去には鳥羽水族館、沼津港深海水族館、沖縄美ら海水族館などで展示事例はありますが、生きている姿を見る機会が滅多にない非常に貴重なヤドカリです。

僕は甲殻類にそこまで詳しくありませんが、レア度はカグラザメと並ぶかと思います。

タケスイは深海生物に強い水族館のイメージでしたが、浅瀬の魚や淡水魚の中にも珍しい生物がいたので、貴重な生き物や興味深い生き物がいないか、水槽の隅から隅まで探してみることをオススメします。

魅力その③:解説掲示のクセが強すぎる

最後に紹介したいタケスイの魅力が、解説展示の癖が強いということです。

これはひょっとしたらタケスイ最大の魅力かもしれません。

これは言葉でツラツラ説明するより見ていただく方が早いと思います。

履歴書風の魚名版「魚歴書」があります。
普通の水族館っぽい魚名版でも、何故か魚が喋っています。
普通は「古代魚」や「胚を持つ魚」などの紹介をされがちなオーストラリアハイギョが可愛さだけ取り上げられています。
謎に脱走の前科を紹介されるインドシナオオスッポン。
何故か魚をめちゃくちゃ食べさせようとしてきます。

こんな感じの解説がほぼ全ての水槽にあります。

全部を読んでツッコミを入れていたら、それだけで1日終わってしまうほどの数が貼られています。

他の園館ではまず見られない癖の強い解説ですが、癖が強いからこそ読みたくなりますし、読んでいくとちゃんと生き物の特徴や生態も学ぶことができます。

例えば、先ほど紹介したコバンザメの魚歴書には、以下のような項目が文言があります。

  • 1mくらいの大きさになります
  • 小魚はエサと思って食べちゃうので一緒にしないでください
  • よく「ひっくり返ってる!!」と言われますが、私は下アゴがしゃくれているだけ
  • サメに勘違いされるのには慣れています

これを普通の解説展示風に書くと、恐らく以下のような文言になります。

「全長は約1m前後。肉食性で小魚などを捕食する。頭の上に小判型の吸盤を持ち、下顎がやや突出している。サメと名前がついているが硬骨魚の仲間であり、分類学上はサメと離れた種である」

こちらの方が学術的にしっかりしていそうですが、恐らく普通の人に読んでもらえないですよね・・・。

こうして考えると、タケスイの解説は遊んでいるように見えて、「読んでもらえる面白さ」と「生物を学べる・興味を持てる情報」の両方を兼ね備えた、優れた解説だと言えそうです。

実際、こうした創意工夫された解説はやはり効果があるようで、特別魚マニアだとも思えないお客さんたちも解説をしっかり読んで生き物たちを観察しているように見えました。

あとがき

以上が竹島水族館の魅力3選の紹介でした!

自他共に認める規模の小さな水族館ですが、得られる楽しみ、学び、刺激は大きな水族館に勝るとも劣らないレベルだと思います。

まだ訪れたことない、あるいはしばらく行っていないなという方は、これを機にぜひ竹島水族館を訪れて欲しいです!

参考文献

小林龍二『驚愕!竹島水族館ドタバタ復活記』2020年

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