邦題 | – |
原題 | Something in the Water |
公開年 | 2024年 |
監督 | ヘイリー・イーストン・ストリート |
出演 | ヒフトゥ・カセム / ナタリー・ミットソン / ローレン・ライル |
制作国 | イギリス |
ランク | 準A級(世間的にはB級だが個人的にはお勧めしたい。) |
ストーリー | ★★★☆☆ |
演出や絵作り | ★★★★☆ |
サメの造形 | ★★★★★ |
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あらすじ
同姓カップルのメグとカイラは、とある事件がきっかけで別れてしまい、気まずい関係になってしまった。
1年後、共通の友人リジーの結婚式を祝うために訪れた西インド諸島のある島で、メグは他の友人たちと共にカイラと再会する。
メグとカイラを和解させる計画のために友人たちは二人を離島に連れ出すが、友人の一人がサメに噛まれて重傷を負い、さらに船が沈没してしまう。
何もない海のど真ん中に放り出されたメグたちは、無事に帰ることができるのか・・・?
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
人間関係を重視した漂流系サメ映画
逃げ場のない海の真ん中でサメに襲われる系の映画です。2025年7月現在は日本で公開・配信されていませんが、イギリス版のNetflixで視聴することができます(日本語字幕は無いうえ、イギリス訛り全開なので注意)。
原題が「水の中の何か」と意味深なタイトルだったので「もしや普通のサメではない異形系か?そもそも本当にサメか?」と勘ぐってしまったのですが、普通にサメでした。サメ映画の中では珍しく、ちゃんとしたイタチザメが登場します。
他の漂流系サメ映画との違いを挙げるとすれば、本作は人間関係に重きを置いていることです。
物語はサメに一切関係ない街中からスタート。ガラの悪いヤンキー女子から同性愛を侮辱されたカイラが中指を突き立て、ヤンキーが逆上。なぜかカイラではなくパートナーのメグをボコボコにし、メグは重傷を負ってしまいます。
それがきっかけで別れた二人が友人の結婚式を機に再会。気まずい雰囲気のメグ達を和解させたい友人たちは、二人を離島で置き去りにする計画を立てます。
しかし、そんなことをやっている最中にサメが友人の一人を襲撃。急いで戻ろうと焦った結果リーフにボートをぶつけ、サメが泳ぎ回る海を泳ぐ羽目になる・・・という流れです。
物語の流れ自体は『赤い珊瑚礁オープン・ウォーター』や『グレート・ホワイト』などと同じ漂流系ですが、本作はサメの恐怖を全面に押し出した海洋パニックというより、窮地に置かれた女性たちの友情、愛情、自己犠牲の精神にフォーカスを当てているように感じました。
サメの再現や襲撃シーンのクオリティは高いものの、第一背鰭だけ、引きのカットだけなど、サメの恐怖や迫力を全面に押し出すような演出が控えめです。
漂流中に描かれる死亡シーンも、サメに襲われる恐怖より友人のために命を投げ捨てる自己犠牲の精神の方が際立つような描き方がされていました(そもそも一人についてはサメに襲われたのかどうかすら明確に描かれません)。
「一人が泳いで助けを呼びに行こう」という、普通なら完全に死亡フラグ(すなわちサメの活躍チャンス)な展開も、メグとカイラの関係修復を表す象徴的シーンへの伏線とされています。
作品全体を通して、サメは死別や再会をドラマチックなものにする舞台装置として機能しているという印象でした。
映像は良いが、イマイチ迫力に欠ける
そんな本作は、映像面でのクオリティだけ見れば間違いなくA級です。
さりげなく映る背鰭でサメの存在感を示す表現、海面に浮かぶ登場人物と同じ目線のカットを多用することで醸し出す臨場感、ゆっくりと姿を見せたサメが猛スピードで向かってくるという緩急のついた襲撃シーン、その襲撃シーンでサメに追いかけられる時の音楽、全て一級品です。
漂流中に登場人物の日焼けが悪化していく様子も生々しく、リアリティにこだわっていることが分かります。
しかし、どこかストーリーの中に空虚なものを感じてしまう作品でもあります。
原因の一つはサメの存在感の薄さでしょう。
先述の通りサメの存在が明確になった後もサメを直接的に映す描写が少ないです。一人は遺体を食べるシーンで僅かに見えるだけ、もう一人については喰われたのか溺れたのかすら分かりません。
ラストでメグとサメが対峙するシーンは『ロスト・バケーション』並みの素晴らしい出来でしたが、そこに至るまでの過程が退屈で、途中で挫折する人もいるかもしれません。
また冒頭シーンから分かる通り、本作の肝は「気まずい関係になっていたメグとカイラの修復」のはずですが、肝心のカイラは途中で一人助けを呼びに行ってメグと分かれてしまい、関係修復の要素となるエピソードは友人たちのトーク内容(しかも回想シーンなどなく言葉のみ)とラストシーンに限られます。
「絶体絶命の状態で、愛した人が助けに来てくれた」という展開も尊いのかもしれませんが、それまで友人たちの自己犠牲精神に焦点が当たっていたこともあり、起承転結がブレているように感じました。
評価は非常に迷いましたが、映像クオリティが高いのにサメの出番が物足りないという点が大きく、準A級としました。
その他見どころや豆知識
- 作中でカムが「I’m not the fucking shark whisperer」と発言するシーンについて、今でこそshark whispererと言えば同名ドキュメンタリー番組で取り上げられたオーシャン・ラムジーを指しているように感じますが、本作は同名ドキュメンタリーよりも前に製作されており、ラムジーに言及したセリフかどうかは不明です。
サメに関する解説
サメの造形
作中で種名の言及はなかったものの、明らかにイタチザメでした。
やや角張を感じる短い吻、大きな頭、上葉と下葉で発達具合に差のある尾鰭など、イタチザメの特徴がしっかりと描かれています。一瞬だけ映る歯の形状もイタチザメ特有の鶏冠型になっており、細かい部分まで再現されていました。
イタチザメ特有の縞模様が薄いと感じた人もいるかもしれませんが、大型個体では模様が薄くなるので、あれくらいでも十分だと思います。
サメ映画に登場するほとんどのサメはホホジロザメ(またはそれをモデルにしているであろう謎のサメ)で、たまに違う種が出てくるとしてもオオメジロザメがほとんどです。
稀にイタチザメが登場するとしても、イタチザメ(Tiger shartk)と呼ばれているだけでどう見てもシロワニ、背中に縞模様があるという点くらしかイタチザメと見なせる要素がないなど、極めて雑な扱いを受けることが多く、何度もモヤモヤさせられてきました。
そんな中で本作は、イタチザメを忠実に再現した数少ないサメ映画と言えるでしょう。
ただし、ルースが死ぬ直前などで登場する、水面から出た第一背鰭の形状に違和感を感じました。
背鰭の角度や先端の丸みから、なんとなくウバザメをモデルにしているような気がしますが、確証はありません。


サメの行動
ゆっくりと獲物の周囲を泳ぎ回り、獲物に襲い掛かる時は猛スピードで一気に距離を詰めるという描写にはリアリティを感じました。
ダイビングで撮影された映像だけ観ているとイタチザメはゆっくり泳ぐ印象を持つと思いますが、獲物を襲う瞬間のサメは一般の方が思っている以上に素早いです。
苦言を呈するとすれば、とにかく血の臭いだけでサメの行動が決まるような極端なシーンがありました。
確かにサメは血の臭いに敏感とされていますが、獲物を襲う直前に離れた場所で少々血が水中に滲み出ただけで、即座にその獲物を捨てて血の臭いに向かっていくなんてことは考えづらいです(そもそも臭いがそんな短期間でサメに届くのか・・)。
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