『ロスト・バケーション』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

ジョーズ』と『ディープ・ブルー』以外はほぼ駄作ばかりというサメ映画の歴史において、新たなA級として誕生した傑作です。圧倒的な映像美で描かれる美女VSサメのシーンは圧巻です。

邦題ロスト・バケーション
原題The Shallows
公開年2016年
監督ジャウマ・コレット=セラ
出演ブレイク・ライブリー
制作国アメリカ
ランクA級(普通に映画として楽しめる。自信をもって勧められる。)
ストーリー★★★★★
演出や絵作り★★★★★
サメの造形★★★★★

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目次

あらすじ

今は亡き母親が教えてくれたメキシコにある秘密のビーチ。

かつて自身をお腹に宿した母が訪れた地で、医学生のナンシーはサーフィンを楽しんでいた。

しかし、突然1匹のホホジロザメに襲われ、左足に深い傷を負ってしまう。

かろうじて逃げることができたナンシーだったが、彼女が泳ぎついたのは翌日には潮が満ちて沈んでしまう岩礁の上だった。

ビーチはすぐ目の前。しかし、海にはサメ。助けは来ない。出血で衰弱し、やがてこの場所も海に沈む・・・。

絶望的な状況で追い込まれていく中、ナンシーは生き残ることができるのか・・・!?

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

シンプルな設定と圧倒的な映像美

元祖『ジョーズ』から始まったサメ映画の歴史は、『ディープ・ブルー』などの僅かな例外を除き、パクリとトンデモに塗れた駄作の連続でした。

そんな中に彗星の如く現れた全く新しいタイプの超良作サメ映画が、本作『ロスト・バケーション』です。

本作は主人公ナンシー以外の登場人物が7人しかおらず、物語の舞台が変わることもほぼありません。言ってしまえば、歩く場所もないほど小さな岩場の上に追い詰められた美女とサメの駆け引きをただ観ているだけです。

しかし、優れた演技、演出、洗練された映像によって、船上や研究所内で繰り広げられるサメとの死闘に匹敵する、観る者を飽きさせない物語になっています。

特に注目すべきはその映像美とリアリティでしょう。

序盤で映し出されるビーチ、水面、波、全てが美しく描かれており、B級映画なら「早くサメを出せ」と文句を言いたくなるようなサーフシーンも見入ってしまいます。

そんなシーンに油断していると出てくるクジラの死体、ホホジロザメ、そして噛みつかれて深い傷を負うナンシー。これらのシーンは非常に生々しく、しかし過度にグロテスクさを強調しない、絶妙なポイントを押さえています。

サメの登場の仕方も素晴らしいです。

現地のサーファー二人がいなくなってから徐々に不穏な雰囲気になっていき、サメのシルエットだけを見せて恐怖を掻き立てつつ、豪快にサメを登場させる展開は、もう見事としか言いようがありません。

開始してから中盤になるまでサメをほとんど映さずにサメの恐怖を描いた『ジョーズ』の演出と、開始数分で派手にサメを登場させた『ディープ・ブルー』の派手さ、その両方をいいとこどりしたような映像であり、サメ映画史上最高のクオリティと言っても過言ではないでしょう。

ストーリーを言葉で簡潔に書いてしまえば単純に思えますが、各シーンにおける美しさと生々しさは一級品です。本作はサメ映画ファン以外の方にも胸を張っておススメできます。

死闘の中に描かれる人間ドラマ

本作は「美女VSサメ」の生き残りをかけた駆け引きという物語の中に、「母の病死をきっかけに医学の道を諦めたナンシーが、死(サメ)に立ち向かうことで、生き残るために最後まで闘った母のように強くなっていく」という人間ドラマが盛り込まれています。

人間模様を安易に付け加えたサメ映画はグダグダしがちですが、本作では以下のような形で、ストーリーの中にナンシーの変化が綺麗に組み込まれています。

父親との電話の中で命題を提示

闘病生活の末に亡くなった母親について、「結局は救えなかった」という絶望と捉えるナンシーと、最期まで闘ったことに重きを置く父親との間にすれ違いがあることが分かります。

サメが死の象徴として登場

突然現れて襲い掛かり、執拗にナンシーを狙うサメは、まさに迫りくる死そのものを表しています。

生存のために死に抗う

噛まれて深い傷を負ったナンシーは、もう諦めたはずの医学の知識と経験を活かして応急処置をし、絶望的な状況の中で生にしがみつきます。

命題に向き合い闘うことを決意

父と妹に向けて遺言じみたメッセージを吹き込む際、「母のように闘う」と決意します。サメが登場する前に提示された命題が回収され、最終局面に突入することが分かります。

母と同じように死に立ち向かって乗り越える

照明弾は役に立たず、体も衰弱しきっているという絶望の中でも自分を奮い立たせ、死の象徴であるサメと対峙し、ついに打ち負かします。

こうした展開の後に迎えるラストシーンでは、妹から「Dr.Adams」と呼ばれていることや、父親の「母さんも誇りに思うだろう」という言葉によって、ナンシーが医療の道を再び志したであろうことが伺えます。

美しい映像やリアリティのあるサメのCGで圧倒しているように見えて、一人の女性のヒューマンドラマでもあるという、非常に贅沢な作品ですね。

なお、本作は「サメの倒し方がリアリティに欠ける」というマイナス評価を受けることが多く、僕もその点は同意なのですが、上記のような物語性を考えれば妥当だったのだと思います。

一人の女性が死に立ち向かっていくという物語の中で、偶然そこにあった強力な武器を使ったり、誰かの支援を土壇場で受けてサメを倒す終わり方は、本作のエンディングとして相応しくなかったでしょう。

その他見どころや豆知識

  • GoPro回収時にナンシーがサメに襲われるシーン、サメの口元にはちゃんと釣り針が映っています。
  • 岩の上で一緒に過ごしたカモメにナンシーは「Steven Seagull」という名前をつけていますが、これは俳優スティーブン・セガールにちなんだ名前のようです。
  • 一回会って車に乗せただけの女性を助けるために、サメがまだいるかもしれない海の中に突っ込んでいくカルロスさん。普通に超いい人。

サメに関する解説

サメの造形

サメ映画史上最高と称してもいいクオリティでした。

本作に登場するのはサメ映画では定番のホホジロザメですが、顔つき、体格、歯の形状など、あらゆる部分が本物に近いと感じました。

実際のホホジロザメ。

噛みつく瞬間にアゴが飛び出し、目が反転して真っ白になるなど、細かい動きの面でも作りこまれており、ほとんど文句のつけようがありません。

また、サメ映画ではサメの背ビレ(より厳密に言えば第一背ビレ)を水面から出すことでサメの存在を示すのが定番ですが、実際にサメが水面を泳ぐ時は尾鰭上葉も水面から出ることが多いです。

本作ではサメが水面近くを泳ぐシーンでその点も再現されており、細部においてもB級サメ映画との違いを見せつけていました。

サメの行動

作品のクオリティやサメの造形についてはトップレベルである本作ですが、行動のリアリティについては否定的にならざるを得ません。

明らかに人間への殺意が高すぎる

クジラの肉にかぶりつくホホジロザメ。

まず、本作のホホジロザメはクジラの死体を食べている時にナンシーに遭遇して襲い掛かってくる設定ですが、そもそもクジラの肉が目の前にあれば人間を襲うとは考えづらいです。

未だにサメを「人間を見たら必ず襲ってくる血に飢えた殺人マシーン」のように考えている人が多いですが、サメは厳しい自然界で懸命に生きているただの動物です。

楽して食べられるご馳走が目の前にあれば、まずはそれを食すでしょう。動き回っている痩せた人間に興味を示すとは思えません。

まして本作のホホジロザメは、24時間以内に3人もの人間を食しています(デブのおっさん、白人サーファー、黒人サーファー)。そのうえでナンシーまで食べようと執拗に狙ってくるのは、明らかに食べ過ぎのように思えます。

サメはクラゲに刺されるのか?

本作のサメはFire coral(アナサンゴモドキの仲間)やクラゲに刺されるのを嫌がるシーンがありますが、これも現実に起こり得るか疑問です。

サメの体は楯鱗や皮歯と呼ばれる、歯と同じ構成成分でできた硬いウロコに覆われています。

実際にホホジロザメの皮膚で検証した事例はないと思いますが、クラゲなどが持つ毒針が楯鱗を貫いてサメにダメージを与えられる可能性は低いと思います。

この点については、フロリダ自然史博物館でシャークアタックを調べているジョージ・バージェス氏も以下のように述べています。

This is unlikely. The only place where jellyfish might have an effect is if it got in their eyes, but most sharks have tough membranes they can close over them, so they wouldn’t worry about that.

(意訳)これ(クラゲの群れに隠れてサメの攻撃を避けられる)は考えづらい。眼であればクラゲの影響を受けるかもしれないが、ほとんどのサメは硬い膜を持っていて目を覆えるので、彼らは気にしないだろう。

6 Shark Attack Myths from ‘The Shallows’』より引用

その他サメの解説

  • ナンシーはサメが泳ぐ時間を計測して「32秒間ならいける」と考えGoProを回収しに行きますが、サメの通常遊泳速度と獲物を追いかけるスピードは異なるので、非常に危険です。

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参考文献&関連書籍

National Geographic『6 Shark Attack Myths from ‘The Shallows’』2016年

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • ロストバケーションは自分もジョーズに並ぶ傑作だと思います。

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