ChatGPTにサメは保護すべきかどうか聞いてみた結果・・。AIはどの程度サメのことを理解しているのか?

今世界中で注目されている言語生成AIである「ChatGPT」。あなたは使ったことがあるでしょうか?

知らない方のために簡単に紹介すると、質問に答えたり、文章を作ったりしてくれるAIです。

有料版もありますが、無料でも十分に使うことができます。

2022年11月にリリースされてから2か月でユーザー数1億人を突破したこのChatGPTは、質問に答えるだけでなく、「物語を作って欲しい」、「コントを考えてほしい」、「プログラミングを書いてほしい」などの依頼に応え、新しいものを作り出すことも可能です。

そんな便利なAIであるChatGPTは、「サメ」という世間的にはマニアックなテーマについて、どの程度細かく、正しい回答をくれるのでしょうか?

今回は、実際にChatGPTを使って出てきた回答を僕なりに評価していきます。

回答に関する注意点

今回紹介する回答は全て、2023年の4月に、ChatGPTの無料版を使って作成しています。

ユーザーごとの仕様や今後のアップデートにより、違う解答が提示される場合もあります。予めご了承ください。

目次

世界で一番大きなサメは?

まずはジャブ程度に簡単な質問からしていきます。

サメ社会学者Ricky

世界で最も大きなサメは何ですか?

【ChatGPT回答】

現存するサメの中で、最も大きな種類は「ホホジロザメ」(Cetorhinus maximus)です。

成体の平均的な体長は9〜10メートルで、最大で18メートルに達することがあります。

しかし、ホホジロザメは肉食ではなく、プランクトンを主な食物としているため、人間に対する脅威はほとんどありません。

一方、最も危険なサメとして知られるのは、ホホジロザメとは異なり、積極的に人間を狙う「ホホジロザメ」(Carcharodon carcharias)です。

ツッコミどころが豊富な文章出てきました・・・。

現存で最も大きなサメはジンベエザメですし、ホホジロザメはこんなに大きくありません。信頼できるホホジロザメの最大記録は6mほどです。

しかも、ホホジロザメの学名として「Cetorhinus maximus」と言っていますが、これはウバザメの学名です。

さらに、ホホジロザメはプランクトン食ではなく、アシカやクジラなどを食べる完全な肉食です(仮にプランクトン食だとしても、動物プランクトンを食べていたら肉食です)。

最後の文章に関しては「ホホジロザメではなくホホジロザメ」という崩壊を起こして、小泉構文の末期症状みたいになってます。

ChatGPTでは、提示された回答に対してさらに要望や意見を言うことができるので、マジレスしてみましょう。

サメ社会学者Ricky

世界最大のサメはジンベエザメではないのですか?

【ChatGPT回答】

失礼しました、ジンベエザメ(Rhincodon typus)が最も大きなサメであるという意見もあります。

ジンベエザメは最大で全長12メートル以上に達し、体重は20トンを超えることがあります。

彼らはプランクトンを主な食物とし、人間には無害です。

ホホジロザメとジンベエザメの間でどちらが最大かは、その定義によって異なります。ホホジロザメは体重で最も重いサメであり、ジンベエザメは全長で最も長いサメです。

「意見もあります」という言い方に、「俺、完全には間違ってないし・・」という反抗心がにじみ出ていると感じるのは僕だけでしょうか・・・。

これについては諸説あるわけではなく、ジンベエザメの方が全長も体重も大きいはずです。

ちなみに、ChatGPTは日本語にも対応していますが、元は英語なので、英語で聞いた方が良い回答をしてくれるかもしれません。

サメ社会学者Ricky

Which species of sharks is the largest?

【ChatGPT回答】

Whale Shark – It is the largest shark and fish species in the world, growing up to 40 feet (12 meters) in length.
(ジンベエザメ。世界で一番大きなサメ、成長すると12mに達する。)

Basking Shark – It is the second-largest shark species, with adults growing up to 33 feet (10 meters) in length.
(ウバザメ、世界で二番目に大きい種で、成長すると10mに達する。)

Great White Shark – It is one of the largest predatory shark species and can grow up to 20 feet (6 meters) in length.
(ホホジロザメ、捕食性のサメでは最も大きく、成長すると6mに達する)

Tiger Shark – It is another large predatory shark species that can grow up to 18 feet (5.5 meters) in length.
(イタチザメ、ホホジロザメと並ぶ捕食性の最大種で、5.5mに達する)

Hammerhead Shark – The largest species of hammerhead sharks can grow up to 20 feet (6 meters) in length.
(シュモクザメ、最大種であれば6mに達する)

It’s important to note that while these sharks are large and can be potentially dangerous, they are not as aggressive towards humans as is often portrayed in media.
(重要な注意点として、これらのサメは大きく潜在的に危険ではありますが、メディアで頻繁に描かれるほど人間に対して攻撃的ではありません。)

英語で聞いたら非常に良い回答になりました。

少なくとも専門家の監修が入った一般向けサメ図鑑にあるような、まともな数字です。

シュモクザメについては、複数種の中で最大種(ヒラシュモクザメ)がここまで大きくなると、細かいところまで配慮された回答になっています。

しかも、いたずらにサメの恐怖を煽らないように、サメのイメージについても注意書きまでつけてくれてます。

やはり日本語で聞くのと英語で聞くのとでは、情報の正確性にかなり差があるみたいですね。

エイはサメから進化したのか?

続いては、サメ類の進化という、もう少しマニアックなテーマで質問してみます。

サメ社会学者Ricky

エイはサメから進化したのですか?

【ChatGPT回答】

エイとサメは、両方とも軟骨魚類であり、同じ祖先から進化した可能性があります。しかし、それぞれが別々の進化の道を辿って、異なる形態を獲得しました。

現代のエイは、一般的にサメよりも扁平で、側面に鰭を持ち、尾には骨がなく、鰭は尾鰭に繋がっています。一方、現代のサメは、胴体がより細長く、胸鰭と腹鰭を持ち、尾鰭には骨があります。

つまり、エイはサメと同じ祖先から進化した可能性がありますが、それぞれが別々の進化の道を辿って、異なる形態を獲得したと考えられています。

少し回りくどいですが、及第点かと思います。

エイとサメは確かに同じ軟骨魚類、より細かく言えば板鰓亜綱と呼ばれるグループの仲間です。

このエイとサメの進化について、「カスザメ等のサメの仲間からエイが進化した」という説が提唱されたことも過去にあったのですが、遺伝子の研究が進んだ現在は、「サメとエイは共通の祖先から別々に進化した」という説が有力視されています。

つまり「エイはサメから進化したか?」への回答は「否、共通祖先から進化した」というのが適切なのですが、ChatGPTの回答はこれと矛盾しておらず、正答と見なして良いと思います。

最初の質問よりもマニアックなのに、何故かまともな回答を返してくれましたね。

エイとサメの進化史簡略図

世界で一番かわいいサメは何ザメか?

では、主観的な質問や意見が割れそうなテーマの質問はどうなるでしょうか?

サメ社会学者Ricky

世界で一番かわいいサメは何ザメですか?

【ChatGPT回答】

サメには多くの種類がありますが、かわいいと感じる種類には個人差があるかもしれません。

ただし、一般的にかわいいとされるサメの種類としては、フロントネコザメ、エンジェルシャーク、ハンマーヘッドシャーク、そしてカメレオンシャークなどが挙げられます。

ただし、サメは野生動物であるため、触れたり近づいたりすることは危険であり、適切な安全対策を講じる必要があります。

存在しないサメの名前が出てきましたね。

「フロントネコザメ」はオデコネコザメな気がしますし、「エンジェルシャーク」はカスザメの英名です。

この2種はどちらも可愛いので、回答としてはまだ理解できます。

オデコネコザメ
カスザメ

しかし、カメレオンシャークは完全に謎です。新しいサメを作り出してしまっています。

せっかくなので、以下のように質問してみました。

サメ社会学者Ricky

カメレオンシャークなんて聞いたことありませんが、実在するんですか?また、学名は分かりますか?

【ChatGPT回答】

はい、カメレオンシャークは実在するサメの一種です。学名は “Heterodontus chameleon” となります。

Heterodontusはネコザメ属のことなので、カメレオンシャークはネコザメの仲間らしいです(念のために付け加えますが、そんなサメはいません)。

こういう場合は英語で聞いてみましょう。

サメ社会学者Ricky

Which species of sharks is the cutest one?

【ChatGPT回答】

As an AI language model, I don’t have personal preferences or opinions, nor do I have the ability to determine which species of sharks is the cutest. (私は人工知能の言語モデルであるため、個人的な好みや意見を持つことはありません。また、どの種類のサメが一番可愛いかを決定する能力もありません。)

Beauty and cuteness are subjective qualities and can vary from person to person. (美しさや可愛さは主観的なものであり、人によって異なることがあります。)

However, some people may find species such as the pyjama shark, the leopard shark, or the zebra shark to be particularly cute due to their unique patterns and colors. (しかし、タテスジトラザメ、レオパードシャーク、トラフザメなどの種類は、独特の模様や色彩のため、特に可愛いと感じる人もいるかもしれません。)

It’s important to remember that all shark species play an important role in the ecosystem and should be treated with respect and care.(すべてのサメの種類は、生態系にとって重要な役割を果たしており、尊重と注意を払うべきです。)

これは良い回答ですね。ちゃんと実在するサメの名前が出てきました。

この3種は確かに模様がお洒落で可愛いです。

水槽の底でじっとしているトラフザメ。

サメは保護するべきか?

続いても意見が割れそうな質問をしてみます。

サメ社会学者Ricky

サメは保護するべきですか?

【ChatGPT回答】

はい、サメは保護するべきです。

サメは海洋の生態系において重要な役割を果たしています。サメが存在しなくなると、海洋の生態系に深刻な影響を与える可能性があります。

たとえば、サメが減少すると、その食物である小魚の個体数が増加する可能性があり、その結果、小魚が餌を食べ尽くすことになるかもしれません。

さらに、サメは観光産業にとっても重要な存在です。ダイビングやシュノーケリングでサメを観察することができる場所は、多くの人々にとって魅力的な旅行先となっています。

また、サメは過剰漁獲や海洋汚染の影響を受けやすく、多くの種が絶滅の危機に瀕しています。

これらの問題を解決するために、サメの保護が必要です。保護措置には、漁獲制限や保護区の設置、国際的な協力などが含まれます。

総じて、サメは海洋生態系にとって重要な生物種であり、保護が必要です。

ほとんど文句のつけようがないですね。至極まっとうな回答です。

高次捕食者が減ることによる生態系への悪影響、トップダウン効果、観光資源という生態系サービス、乱獲の問題などが簡潔にまとめられています。

サメについて発信していると「人を襲うサメなんて絶滅した方がいい」という色々と歪んだ意見を頂くこともありますが、そんな人間たちよりもAIの方が信用できそうですね。

メガマウスザメ出現と地震の関係性について

では、ネット上の誤った情報で回答が歪みそうな質問はどうなるか試してみましょう。

サメ社会学者Ricky

メガマウスザメの出現と地震には関係性があると思いますか?

【ChatGPT回答】

メガマウスザメの出現と地震の関係については、科学的な証拠はまだ存在しません。これらの現象が直接的に関連しているという結論を出すには、より多くの研究が必要です。

メガマウスザメは、主に深海に生息しており、地震とはあまり関係がないように思われます。

ただし、地震が発生する前に、地震前兆現象として海水の温度や化学組成、水位の変化などが観測されることがあります。

これらの変化がメガマウスザメの生息環境に影響を与え、出現につながる可能性はありますが、まだ十分に研究されていません。

したがって、メガマウスザメの出現と地震の関係については、科学的な証拠が不足しており、確実な結論を出すことはできません。

予想以上に良い回答ですね。てっきりトンデモ界隈の情報に引っ張られて、もっと肯定的な回答になると思っていました。

知らない方のために一応言っておくと、メガマウスザメ出現が地震の前兆という説は非常に胡散臭く、ガバガバな根拠とこじつけで固められたオカルトです。

このテーマは別の記事でガッツリ解説しているので、気になる方はこちらもぜひご覧ください。

※メガマウス地震前兆説の解説はコチラ

シュモクザメは危険なサメか?

もう一つ、ネットの歪んだ情報に影響されそうな質問をしてみます。

サメ社会学者Ricky

シュモクザメは人間にとって危険なサメですか?

【ChatGPT回答】

シュモクザメは、一般的に人間にとって危険なサメの一種と考えられています。

彼らは大型で、攻撃的で、狩りをする際に非常に攻撃的になることがあります。

しかし、実際には、シュモクザメによる人間への攻撃は稀であり、実際に人間がシュモクザメに襲われることは非常にまれです。

人間がシュモクザメに攻撃される可能性を減らすためには、海で泳ぐ際には安全に関する適切な知識を持つことが重要です。

及第点という感じでしょうか。

「狩りをする際に非常に攻撃的になることがある」という部分が引っかかりますが(人間にという意味であれば誇張ですし、獲物全般ということであれば捕食動物全般に言えそうです)、シュモクザメによる人間への攻撃が非常に稀という結論に至っているので良しとします。

シュモクザメはよくホホジロザメやイタチザメと同じように危険なサメとされがちですが、人を襲った事例はほとんどありません。

身体に対して口も小さく、よほど特殊な状況でもない限り、人間をエサとして見なすことはないと思います。

この点も別記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ。

※シュモクザメの危険性についてはコチラ

ヒットしそうなサメ映画のタイトルは?

ここまではサメに関する質問に答えてもらいましたが、AIに新しいコンテンツを生み出してもらいます。

サメ社会学者Ricky

ヒットしそうなサメ映画のシナリオを考えて

【ChatGPT回答】

タイトル: “シャーク・アタック:サーファーズ・パラダイス”

プロット:カリフォルニアのサーファーパラダイスであるマリブビーチで、急激なサメの攻撃が発生し始めます。地元のサーファーたちは、サメによる攻撃の原因を突き止めるために、海洋生物学者のアビゲイルと協力することにします。

アビゲイルは、サメの行動パターンと生態系についての専門知識を持っており、サーファーたちが助けを求めるたびに現場に駆けつけます。彼女は、最新の技術を用いてサメの習性を研究し、攻撃の原因を明らかにします。

彼女は、突然サメが襲ってくる理由は、水温の上昇とともに移動するサメの群れによるものだと結論付けます。しかし、このサメの群れは通常よりも凶暴で、獲物を求めているようです。

アビゲイルは、サメの脅威を減らすために、サーファーたちに対する警告を発し、海岸沿いに新しいサメ撃退システムを導入します。しかし、サメの攻撃は止まりません。

サーファーたちは、アビゲイルと協力して、サメの脅威に立ち向かいます。サーフボードに特殊な撃退装置を装着して、サメと戦い、彼ら自身を守ります。果たして、彼らはサメの攻撃からパラダイスを守ることができるのでしょうか?

途中までいい感じでしたが、後半でアサイラムみたいになりましたね。

「サメ撃退システム」というのが謎ですし、サーファーが襲われてるんだから水に入らなければいいのに、何で撃退装置を付けて海に突撃するんでしょうか・・・。

ヒットするかどうかは別にして、ある意味サメ映画らしいシナリオと言えそうです。

ChatGPTの回答精度の総評

ここまでの回答を振り返ってみると、切り口がYes/Noの質問には日本語でも良い回答が返ってきて、「どのサメが一番〇〇か」など、答えに幅のある質問はおかしいことになるようです。

ただし、そうした質問も英語で聞けば、割とまともな回答が得られました。

また、サメを保全する必要性や危険性の評価、ニセ科学に対する回答など、意見の分かれそうなテーマの方がむしろ優秀な回答をするようでした。

まとめると、英語も駆使して利用すれば便利なツールであることは間違いないですが、情報源として頼り切るというのは難しそうです。

Googleの検索と同じように、出てきた情報をこちらで精査したり、調べなおす必要があると感じました。

また、これはサメに限らずですが、このChatGPTが出す誤った情報をそのままコンテンツとして発信するアンポンタンが今後増えると思います。

このChatGPTや類似の人工知能が普及するにつれて、どこから学ぶのか?情報の真偽をどう確かめるのか?その情報の元になっている情報は何か?などを考える力が、今後ますます重要になってくるでしょう。

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