『猛襲』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

邦題猛襲
原題Thrash
公開年2026年
監督トミー・ウィルコラ
出演フィービー・ディネヴァー / ジャイモン・フンスー / ホイットニー・ピーク
制作国オーストラリア / アメリカ
ランクA級(普通に映画として楽しめる。自信をもって勧められる。)
ストーリー★★★★★
演出や絵作り★★★★★
サメの造形★★★★★

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目次

あらすじ

米国サウスカロライナ州の小さな街アニーヴィルに、カテゴリー5の大型ハリケーン”ヘンリー”が襲来。高潮によって街に海水が流れ込んだ。

一人きりで家に引きこもっていた少女ダコタ、出産を間近に控えた妊婦リサ、意地悪な里親の元で暮らすオルソン兄妹たちは逃げ遅れ、水没した街に閉じ込められてしまう。

さらに、血に飢えたオオメジロザメが街に侵入し、次々に生存者たちを襲い始める。

絶望的な状況でそれぞれがサバイバルを強いられる中、海洋生物者でありダコタの叔父であるエドワーズ博士は姪の救出に向かうが、街にはエドワード博士が追跡していたホホジロザメ”ネリー”も侵入していて・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

Netflixオリジナルの超本格派サメ映画

怒涛のラストで話題沸騰だった『セーヌ川の水面の下に』に続く、Netflix発のサメ映画です。

物語の設定自体は『パニック・マーケット』や『津波シャーク』などと同じく、「水没した街中にサメが現れる」というものです。

気候変動による異常気象という現実世界での問題を冒頭テロップで想起させたうえで早々にハリケーンが襲来。水浸しになった海沿いの街で一部の住民が逃げ遅れ、さらに精肉工場のトラックが破損したことで大量の血が流れ出て、凶暴なオオメジロザメを呼び寄せます。

ここまでの流れで余計な会話シーンで間延びすることなく、登場人物のキャラクターや舞台設定を観客に伝えており、実にスムーズに本筋につながっていきます。

B級サメ映画では蔑ろにされがちな「サメが人を襲ってくる理由」もきちんと用意されている点も個人的に高評価です(街が水没したからと言ってすぐにサメが襲ってくるわけではありません)。

そんな本作の注目ポイントは、類似作品と比べてずば抜けた恐怖演出や映像面でのクオリティです。

水面から背鰭だけを見せるというサメ映画の伝統芸はもちろん、濁った水の中に一瞬で引きずり込む、猛スピードで突進して襲い掛かる、執拗に噛みついて肉を噛み千切る、「早くあっちにいけ!」と祈りたくなるようなスロースピードでゆっくりと真下を通り過ぎるなどなど・・・。

サメを使った怖い・痛い・迫力のあるシーンがより取り見取りです。

特に、妊婦リサを助けようとした男たちが水中に襲われるシーン、家の窓ガラスから外を見ていた子供立ちの前に背鰭が現れるシーン、玄関の扉を閉めようとした時にゆったりとサメが入ってくるシーンは、個人的にお気に入りです。

また、囮として使っていた振動する電化製品が次々に水中に消えていくことでサメの存在を間接的に示すシーンは、街中という舞台設定も活かした表現としてお洒落に感じました。

サメが現れる場所も道路やガレージ、キッチン、地下室など豊富で、「救助を呼ぶためにor逃げるために水に入らないと・・」という展開も用意されるため、ハラハラ・ドキドキの展開を楽しむことができます。

登場人物のキャラクターについては、母の死をきっかけに引きこもる、婚約者と別れて引っ越してきたばかりの妊婦、意地悪で頭悪そうな里親の元で暮らす三兄弟というドラマ性のある設定が用意されていますが、そこに長く尺が使われることはありません。

これらのキャラクター性は「なぜ巨大ハリケーンが来ているのに避難しないのか?」という疑問を抱かせないためだけに存在しているような印象です。

人間関係の深堀がないので味気なく感じる人もいるかもしれませんが、その分サバイバル劇に力が入っていますし、それぞれがキャラ立ちしているので、モンスターパニックを楽しみたい人にとってはそこまで気にならないと思います。

シリアス展開からのサメ映画的ブッ飛びへの転換

『セーヌ川の水面の下に』は「巨大すぎるアオザメが川を遡上してくる」など超常的な要素が次々に明かされていくタイプの作品でしたが、本作『猛襲』は、ほとんど終始一貫して現実的な恐怖を描いています。

先述の通り「食肉工場の廃液的なものが漏れる」というサメが集まる要因がちゃんと用意されていましたし、襲ってくるオオメジロザメのサイズも現実的。バクっと一発で食べられるのではなく腕を噛み千切られたり振り回されたり、襲われ方もリアル寄りだったと思います。

しかし、クライマックスではコアなサメ映画ファンが喜びそうな展開が畳みかけてきます。

出産間近の状態で沈みゆく家から動けなくなった妊婦リサ。この状態で生き残れるのか・・と思っていたら、なんと水中でそのまま赤ちゃんを出産。出産時の出血で集まって来たサメに対し、リサが取り出したのは一本の先が尖った棒きれ。先程までのリアルな攻撃シーンはどこへやら。猛スピードで向かってくるサメを迎え撃って撃退します。

さらに、ダコタやリサとは関係なく窮地に陥っていたオルソン三兄弟も、シリアスなソリッドシチュエーションで話が進んでいるかと思いきや、腕とケツを噛み千切られた意地悪な里親が急に復活するというトンデモチックな展開が始まります(その出血量でよく生きてたな。というかずっと水の中で息を止めてたの?)。

最終的には地下室でたまたまダイナマイトを発見(何で一般家庭にそんなものがある?)。見つけた途端に「And I need you~」と音楽が流れ始めたり、コメディ映画のようなカット割りで爆弾作りが始まるなど、急に物語のトーンが変わります。しかも、それまでは「水中のどこにサメがいるか分からない」とガクブルしていたのに、「爆弾を喰わせるために誘き寄せないと!」と言いだして水に入って騒ぎ出す始末。

極めつけはエンドロール曲です。「続編あるかも・・」というオチの直後『I Can See Clearly Now』が流れ始めます。この曲は『ディープ・ブルー』で管制塔でブレンダが流していた曲であり、サメ映画マニアなら必ず耳にしたことがあります。

曲名を知らないサメ映画ファンも、聴けば分かるはず↓

もっともこの選曲については「雨があがって、今はっきりと見えるよ」という出だしの歌詞を物語のエンディングと絡めただけの可能性もありますが、僕は『ディープ・ブルー』を意識したものだと勝手に信じたいです。

サメのCGなど映像面のクオリティは終始維持されていましたが、後半で急にサメ映画的な悪ノリが始まるので、よく言えばサメ映画というジャンルに配慮している、悪く言えばシリアス路線を走りきれなかった中途半端さが残る作品と言えます。

ホホジロザメ”ネリー”は出オチなのか?

本作にはオオメジロザメの他にも、”ネリー”と名付けられたホホジロザメが登場します。

ネリーはリチャーズ博士たちが3年間追跡してきた妊娠個体という設定です。サメは概してメスの方が体が大きく、妊娠個体(つまり成熟している)となれば、全長は4~5m以上になり、本作でもそれなりのサイズで描かれていました。

しかし、その活躍場面は控えめです。

オオメジロザメ達が逃げ出した後にゆっくりと現れる姿はまさに女王。圧倒的な強者の貫録ですが、その後はほとんど姿を見せることなく、ダコタに襲い掛かるオオメジロを豪快に食べるという、ある種のオチ要因として登場するだけになります。

冒頭でホホジロザメによるシャークアタックのニュースが流れるという伏線じみたシーンがありながら、『ジュラシック・ワールド』のモササウルスのような扱いで終わってしまうので、物足りなさを感じるかもしれません。

個人的にもやや期待外れな印象は抱きましたが、これについては「自然は人間の脅威とも恩恵ともなる中立の存在」というメッセージであると解釈することもできると思います。

本作では妊婦を助けようとしたトレーラー運転手やボートの二人組のような善人がサメの餌食になるという理不尽な死も、オルソン氏のような愚かで傲慢な人間の死も、為すすべのない犠牲として描かれています。

また、確かにネリーはダコタ達を結果的に助けていますが、そこに人間との絆的なものは一切ありません。さらに言えば、冒頭で流れていたニュースやレポーターの話によれば、ホホジロザメは嵐の前に人間を殺しています(ネリーかどうかは分かりませんし、レポーターの話は眉唾の可能性もありますが・・)。

ここには、「自然は人間都合の善悪に関係なく、人間に恩恵をもたらすこともあれば脅威になることもある存在」という、現代社会でも覚えておくべき教訓じみたものがあるように感じました。

サメやクマなどの危険生物について、巷では「動物に悪意はないから殺すな」と過激な擁護論が出てきたり、逆にそこで「害があるから絶滅させるべき」という別方向の極論がぶつけられることもあります。

しかし、「自然は人間都合の善悪に関係なく、人間に恩恵をもたらすこともあれば脅威になることもある存在」という概念を理解していれば、危険とされる生物が恩恵をもたらすことがあること、しかし悪意の有無に関係なく脅威になることはあるから対策が必要なこと、それぞれを理解・実践する、バランスの取れた向き合い方ができるのではないでしょうか。

製作陣の意図は分かりかねますが、上記のようなメッセージの使者として登場したのだと思えば、活躍の場が少なかったネリーのことも愛おしく思えるかもしれません。

その他見どころや豆知識

  • 本作の原題『Thrash』は「打ち負かす」「何度も打つ」などの意味を持つ英単語です。サメ映画には珍しく、原題をそのまま活かしたような邦題が付いています。
  • ハリケーンの名前を話すシーンで出てくる”テッド・バンディ”は、米国で少なくとも30人の女性を殺害した連続殺人鬼です。それくらいヤバいハリケーンってことですね。
  • 三兄妹の長男ロンが首から下げているねっくねすにイタチザメの歯がついています。あの里親たちが買ってくれるとは思えないので、実の両親の形見か、前の里親からもらったものかもしれません・・・。
  • 車で出発するロンは「どこか安全なところ」としてフロリダ州を挙げていましたが、実はフロリダ州は米国で最も多くハリケーンが発生し、最もシャークアタックが発生している州です。

サメに関する解説

サメの造形

本作でメインで活躍(?)するサメはオオメジロザメです。

オオメジロザメの特徴としては、丸みを帯びた短い吻先、「ザ・世間でイメージされるサメ」と言いたくなるような幅広い三角形の第一背鰭、高さのある筋肉質な体などが挙げられます。

メジロザメ属のサメは全体的に似たような見た目をしており、本種にはイタチザメの縞模様のような際立った特徴がないため再現が難しいのですが、本作のサメは一目でオオメジロザメと分かるような良質な再現でした。

大きさについても、本作のオオメジロザメは目測2〜2.5mほどであり、現実的なサイズだったと思います。

強いて言えば、噛みつくシーンで映る下顎歯の形状が実物と異なるように見えたのと、オオメジロザメにしては歯の本数が多すぎるように感じました。ただ、映ったのが一瞬かつ部分的なので何とも評価しづらいですが・・。

玄関から家に侵入してくるシーンにおける真上からのカットで、オオメジロザメの第一背鰭と第二背鰭間に隆起線のようなものが見えましたが、オオメジロザメの背鰭間に隆起線はありません。

実際のオオメジロザメ
オオメジロザメの上顎歯と下顎歯の写真
オオメジロザメの歯。左が上顎歯、右が下顎歯。

本作に登場するもう一種のサメがホホジロザメです。

ホホジロザメの特徴として、尖った吻先、三角形の大きな歯、がっしりとした体格、尾柄部の隆起線、三日月型の尾鰭などが挙げられます。

こちらも全体的によく再現されており、一目でホホジロザメだと分かる姿でした。

実際のホホジロザメ。

サメの行動

オオメジロザメは危険ザメ”ビッグ3″に数えられる一種であり、ホホジロザメ、イタチザメに次いで多く事故を引き起こしているサメです。

河口付近や港など陸に近い場所で事故が起きることもあり、淡水への適応能力も高いため川を遡上してくることがあります。

また、ホホジロザメやイタチザメに比べると、危険ザメの中では水族館で飼いやすい(少なくとも長期飼育に成功している事例が一定数ある)サメでもあります。

以上を考慮すると、高潮で水浸しになった街中にオオメジロザメが侵入してくる可能性は確かにありますし、障害物の多く川の水が混じりあったような環境でもある程度生き残ったり、濁った水の中を歩く人を襲ってしまうリスクもあるかもしれません。家の仲間で入ってくるかは分かりませんけどね・・・。

実際に人が襲われたわけではありませんが、2017年オーストラリアにて、巨大なサイクロンが過ぎ去った後の道路で、洪水と共に流れてきたと思しきオオメジロザメが取り残された状態で発見されたことがあります。

なお、クライマックスでホホジロザメ”ネリー”がオオメジロザメに襲い掛かるシーンについて。サメに寄るのかもしれませんが、胎生の大型サメ類では妊娠個体が食事を控えていることを示す研究があります(恐らく生まれたばかりの自分の子供をエサとして食べないように)。そのため、妊娠個体であるネリーがあのような豪快な狩りをするのか、やや疑問です・・・。

その他サメの解説

エドワーズ博士がサメに興味を持ったきっかけを聞かれた際「アフリカで最も恐ろしい動物であるカバをオオメジロザメが恐怖させているのを見て魅せられた」と話す場面があります。

作中で言及されたザンベジ川では実際にオオメジロザメが確認されており、”ザンベジシャーク”と呼ばれています。

調べたところザンベジ川にはカバも生息しているため、オオメジロザメとカバが遭遇する可能性は十分にあります。

南アフリカのイシマンガリソ湿地公園では、カバの群れとオオメジロザメが出くわす映像が撮影されたこともあります。

実際の映像はコチラ↓

ただし、川を遡上するオオメジロザメは幼魚であることが多いのに対し、カバは体重1トンを超える巨体です。子供を襲うにしても、カバは群れで行動しているため、狙って仕留めるのは容易ではありません。

子供への脅威だと感じたカバがオオメジロザメを追い払うことはあるかもしれませんが、大きなサメがカバを恐怖させるほど激しく攻撃するなんて事態が起こるのか・・。少々疑問です。

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