| 邦題 | ジョーズ98` 激流篇 |
| 原題 | Great White |
| 公開年 | 1998年 |
| 監督 | ザック・リーダー |
| 出演 | リチャード・キーツ / テリー・アロースミス / ステファニー・ローズ・アレン |
| 制作国 | アメリカ |
| ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
| ストーリー | ★☆☆☆☆ |
| 演出や絵作り | ★★☆☆☆ |
| サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
米国のとある田舎町にて、川でウェーディングをしていた青年ジョーが、下半身を噛み千切られた状態で発見される。
青年と交流のあった海洋生物学者スティーブンは、その後に起きた行方不明事件や目撃証言から、ホホジロザメによる仕業だと推測。
しかし、事故が起きたのは淡水域なうえ、サメを目撃したのが酔っ払いのホームレスだけであることを理由に、保安官は聞き入れようとしない。
そうこうしているうちにサメは川に入る者を血祭りにあげていき、その魔の手はスティーブンの息子デイヴィッドにも迫っていた・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
今やVHSしか残っていない幻のサメ映画
サメ映画の原点にして頂点『ジョーズ』の公開後、それをパクったような作品が乱立した時代がありました(まあ今もパクられてはいますが)。
本作『ジョーズ98` 激流篇』もその一つです。邦題に「ジョーズ」と付けられていて、「激流篇」などと続編っぽい言葉も添えられており、ジャケットには本家と同じような構図のサメが描かれていますが、本家『ジョーズ』とは全く関係ありません。
強いて関連性を挙げるのであれば、本作も『ジョーズ』のモデルとなったとされる(諸説あり)、ニュージャージー州サメ襲撃事件をモデルにしており、オープニングに「実話からインスパイアされた」と表示されます。本作における「ホホジロザメが川で人を襲う」というトンデモに思える設定も、実際の事故をもとにしたものでしょう。
また、あらすじを読んでいただければわかる通り、「主人公がサメについて警告をするが誰も信じない」という、典型的なジョーズテンプレ作品となっています。
実は日本が出資して製作されたのですが、日本でもVHSのみ流通してDVD化されなかった作品で、今ではほとんど手に入れることができない幻のサメ映画の一つです。
僕も観る機会がなかなか得られず、レビューしないまま人生を終えることになるのかと半ば諦めていたのですが、2026年に開催された第3回東京国際サメ映画祭というイベントで、ようやく観ることができました。中野ダンキチ氏、サメ映画ルーキー氏、その他イベントに運営や支援などで関わった皆様に、この場でお礼を申し上げます。貴重な機会をありがとうございました。
手作り感が溢れる超グダグダ展開
そんな今では視聴すること自体が困難な作品ですが、その困難に見合うだけの価値があるかどうかは別問題です。
オープニングロールがやけに長く、水面で揺らいでいるようなエフェクトが下手糞なため制作や出演者の名前がとにかく読みづらい。しかも『Great White』という原題のなのに、その背景で泳ぐサメのシルエットはメジロザメ類っぽいという・・・すでにこの時点で不穏な空気が漂っています。
そして物語は海洋生物学者スティーブンが朝早く目覚めるところからスタート。スティーブンの髪型がどことなくブロディ署長っぽく、奥さんがベッドで寝たまま夫が目覚めるという構図も、なんとなく『ジョーズ』の冒頭を彷彿とさせます。
その後、釣りに行く予定がパンクのせいで予定が狂い、スティーブンと同行する予定だった青年ジョーが愛犬と共に釣りに行き、サメに襲われます(幸いなことにワンちゃんは無事です)。
このシーン、サメ視点の水中映像を入れたり、「ワンちゃんが食べられるかも・・」とハラハラ描写を入れてくるのは良かったのですが、とにかくサメも人も遅い・・。ウェーディングできる水深なのだからさっさと歩けばいいのに、何故かジョーはクロールを開始。数秒で岸に上がれそうな距離から全然ジョーが移動していないという不思議な映像が続いた後、水中に引きずり込まれていきます。
とにもかくにもサメが人を食べたので物語がそこから進展していくのかと思いきや、サメだけでなく話の進みも遅い・・。
数少ないサメの出番の合間合間に、やたらと奥さんや息子と話すシーンや息子が友達と交流する場面が挿入されます。
これらのシーンに何か意味があればいいのですが、「息子に気を付けろと警告する→生徒からサメの話を聞く→保安官にサメのことを話すが信じてもらえない→奥さんに同じ話をして信じてもらえない→息子に川に近付くなと警告する→また生徒とサメの話をする」みたいに、似たようなトークが延々と繰り返されます。
特に奥さんへの報告的な場面がほとんど意味もなく頻繁に挟み込まれており、彼女の出番を増やすよう何か圧力がかかっていたのかと疑いたくなります。
保安官にサメのことを話して聞き入れてもらえなかった後スティーブンが何かしらの調査っぽい行為をはじめ、ようやく物語が動き出すのかと思いきや、街中や川辺をウロウロする無言シーンを散々垂れ流した挙句、突然のネコの声にスティーブンびっくりして終了・・。
それが終わったと思ったら、サメの目撃者である老人(通称”軍曹”)が、若い頃女の子を口説くために射的でぬいぐるみをゲットしたみたいなエピソードを延々と聞かされるという誰得な苦行が始まります。
正直に申し上げると、生まれて初めて上映中にスマホをいじりたい衝動にかられました(流石に我慢しました)。
激流とは言い難い川流れのクライマックス
上記のようなのんびりした速度で物語は進んでいき、保安官がようやくサメの話を信じて、川を閉鎖しようという風になります(まあそこでもグダグダして一人喰われますが)。
しかしそれと入れ違いで、スティーブンの息子デイヴィッドは両親に内緒で計画していた川遊び出発。でっかい浮き輪に乗って仲間たちと共に川を下り始めます。
このシーン、波も流れもない川を非常にゆっくりと漂っているだけにしか見えないのですが、設定上は激流ということになっているのか、デイヴィッドたちに警告するために追いかけるスティーブンの車は猛スピードで走り続けます。
そんな緊急事態なのにスティーブンは、直接保安官に電話せずに一旦奥さんを経由して保安官に伝言するという謎の伝言ゲームを開始。やはり奥さんへの報告を挟まないといけない縛りがあるようです。
最終的には橋から息子を救出し、ガソリンタンクをサメに噛ませて狙撃。サメ映画の伝統芸能である爆発によって仕留めます。ここで軍曹の銃の腕前が披露され、先述した謎エピソードが伏線として活かされました。
総評を述べるなら、『ジョーズ』におけるオルカ号に乗るまでのくだりをパクってダラダラ引き伸ばし、とりあえずの仕上げでサメを吹き飛ばしたような作品でした。
安物ビデオカメラと思しき映像と単調なカメラワークからは手作り感が漂っているものの、製作側は真面目に作っていたようで、確かにグダグダするだけで物語の流れは一応整っています。
そうした構成と、後述するサメの映像面での評価から「B級」としましたが、グダグダ感はZ急に近いです。しかも昨今のZ級サメ映画にあるような常軌を逸した展開や地獄のようなチープ描写がない分、ただただ退屈でクオリティの低い映画となっており、ある意味タチが悪いです。
DVD化も配信もされず、今や幻のサメ映画と化していますが、世の平和のためにも幻のまま消えていってもらった方が良いのかもしれません。
その他見どころや豆知識
- 「ジョーがいないからスライドショーは流せない」と言っておきながら、授業に関係ない謎映像をテレビで流し続けるスティーブン。
- スティーブンが家族と話すシーンでテレビのものと思しき音が流れ続ける場面があります。てっきりテレビのニュースが何か場面転換に繋がるのかと思いきや、マジで意味もなくつけっぱなしにしていただけのようです。
- 本作のエンドロールで表示されるニュージャージー州サメ襲撃事件の説明について、確かに捕獲されたサメから人の一部は出てきましたが、そのサメが一連の事故を起こしたのか(そもそも一尾のサメによる事故だったのか)、はっきりと分かっていません。
サメに関する解説
サメの造形
本作に登場するサメはホホジロザメです。
水面から背鰭を出して追いかけるシーンは安っぽい板(恐らく背鰭以外の部分はほとんど作られていない)で再現されており、ダムの技術者を襲うシーンなどでお粗末なサメの模型のようなものが一瞬写り込みます。
水中を泳ぐサメには本物のホホジロザメの素材集的映像を繋ぎ合わせて使っていました。
この手の素材映像を使った映画では、背景の水の色、画質、サメの種類がコロコロ変わることが多々あるのですが、本作では南アフリカっぽい緑がかった水の中を泳ぐホホジロザメで統一されており、一貫性が保たれていました。
本作のおける数少ない評価ポイントと言えるでしょう。

サメの行動
本作ではホホジロザメが川に現れるのは異常事態としながらも、特にその理由が明かされることはなく、スティーブンもその点に大して触れないままサメを吹き飛ばしてしまいます(海洋生物学者なんだからもう少し興味を持て)。
本作の元ネタであるニュージャージー州サメ襲撃事件では実際に川で人がサメに噛まれており、その後に捕まったホホジロザメから人間の一部が出てきたことから、「ホホジロザメが川を遡上して人を襲った」ということになっていますが、真相は今も分かっていません。
本作の舞台はそれなりに広くて深い川という設定のようですが塩類濃度などへの言及がなく、ホホジロザメが入ってこれる環境だったのかは謎です。
なお、淡水域に現れるサメもいるとしてインドやニカラグア湖への言及がされていましたが、これらはガンジスメジロザメやオオメジロザメのことだと思います。確かに淡水域での記録があります。
スティーブンはこれらのサメについて、人を襲うようなサメではないとしていますが、ニカラグア湖で確認されているオオメジロザメについては、ホホジロザメ、イタチザメに次いで事故件数が多い危険なサメです(もっとも、淡水域に現れるのは小さな幼魚であることが多いようですが)。

その他サメの解説
- スティーブンのオフィスに置かれていたサメのフィギュアについて、顔つきやヒレの形などはホホジロザメっぽかったですが、何故か第一背ビレの先がツマグロのように黒くなっています。一体何ザメだったのでしょう・・。
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