設定はシンプルなもののサメの映像や恐怖演出にこだわられた良作です。
邦題 | 海上48hours ―悪夢のバカンス― |
原題 | Shark Bait |
公開年 | 2022年 |
監督 | ジェームズ・ナン |
出演 | ホリー・アール/ジャック・トゥルーマン/キャサリン・ハネイ |
制作国 | アメリカ |
ランク | A級(普通に映画として楽しめる。自信をもって勧められる。) |
ストーリー | ★★★★★ |
演出や絵作り | ★★★★★ |
サメの造形 | ★★★★★ |
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あらすじ
米国カンザス州で大学に通うナット、トム、ミリー、タイラー、グレッグの5人組は、春休みを利用してメキシコ旅行を楽しんでいた。
テキーラをしこたま飲んで悪乗りの最高潮に達した彼らは、桟橋に停めてあった2台の水上スキーを盗み出して沖へ出ることに。
しかし、調子に乗ってチキンレースをした彼らはお互いに正面衝突。水上スキーは故障し、仲間の一人グレッグが脚に大怪我をしてしまう。
岸までグレッグを運ぶ手段もなく、スマホも役に立たない中、浮気発覚でギクシャクするナットたち。為す術もなく海の上を漂う彼らの前に、巨大なホホジロザメが現れる・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
王道だが面白いストーリー
酒と性のことしか頭にないような大学生たちが遊びに行った先で怪物に襲われ、お調子者、ビッチ、人種的マイノリティ(黒人やアジア系)などが殺されていく。果たして主人公の清楚系or真面目系の美女は生き残ることができるのか・・・?
大まかなストーリーの流れは、『13日の金曜日』などに代表されるホラー映画の典型です。
しかし、物語の構成や映像のクオリティが高いため、「王道=陳腐」ではないと見せつけた良作と言っていいと思います。
とにかく、無駄がなくテンポが良いです。
冒頭の短い会話シーンで登場人物のキャラクター性や設定を観客に示した後、開始から15分でトラブル発生。その後もハラハラさせる展開やサメの恐ろしい襲撃シーンが連続し、長過ぎる会話シーンなどで時間稼ぎすることもありません。
漂流モノという特性上、舞台設定や登場人物の変化に乏しい作品ですが、後述する演出の良さも相まって全く退屈に感じませんでした。
さらに、「これで帰れるかも・・・」というポジティブな展開の後にそれをひっくり返し、最後の最後まで観客を引き付ける展開も見事です。
なお、予告編で「浮気発覚!」という展開を知った時点では「いや、浮気発覚は別にいいだろ」と思っていたのですが、ラストにおけるトムの行動を考えると、あれは必要な要素だったと感じました。本当に無駄がありません。
恐怖演出のクオリティが高い
物語が面白いだけでなく、作中における恐怖演出も注目ポイントです。
水面と並行に人の頭だけ見える映像と、水中から見上げるような視点を上手に組み合わせ、「サメがいるのか・・・。いつ来るのか・・・」というドキドキ感を効果的に煽ってきます。
どのシーンも良い仕上がりだと思いますが、個人的には落としたスマホを探しに潜る時に一瞬サメの影が映るところが好きです。変に怖い効果音を付けることなく、「下手したら見逃す人もいるのではないか」という絶妙なラインでサメの存在を示しているのが良いですね。
また、背ビレだけ水面から出してゆっくりと向かってきたり旋回するシーンと、突然歯をむき出しにして襲い掛かってくるシーンの使い分けが上手く、じっとりとした恐怖とビックリするような恐怖のメリハリが効いています。
サメ映画の元祖である『ジョーズ』で評価された演出を現代の映像技術で再現したようなシーンが多く、もし『ジョーズ』をリメイクしてスピルバーグ以外を監督とするなら、本作の監督ジェームズ・ナンは有力候補でしょう。
『ジョーズ』をパクって駄作に終わったサメ映画は数え切れないほどありますが、その良い部分を抽出してオリジナルの作品に昇華させた映画は非常に珍しく、正統派のサメ映画好きには特にお勧めしたい作品です。
本作の劇場パンフレットについて
個人的な話にはなりますが、本作『海上48hours ―悪夢のバカンス―』が劇場公開される際、その劇場パンフレット内でのサメの解説を担当させていただきました。
本作の原題『Shark Bait』になぞらえて「正解率が低いとサメのエサになりやすい」というコンセプトで〇×クイズを出題し、各クイズの中でサメの特徴や行動について解説しました。
同じく劇場パンフレットのお仕事をいただいた『海底47m 古代マヤの死の迷宮』に続き、本作も自信をもっておススメできる映画であり、このような映画に僅かでも関われたことを誇りに思います。
サメ好きの中には「人喰いザメ」というイメージを前面に押し出すことや、一部の作品の見るに堪えないクオリティから、サメ映画そのものに悪い印象を持っている人も一定数います。
しかし、僕自身をはじめ『ジョーズ』をきっかけにサメや海に興味を持ち、保全や科学の重要性を学んだ人がいることも事実です。
サメ映画という独特の文化の中でサメそのものについて知識を伝えていくという活動に、なんらかのプラスの影響があると信じ、今後もこうしたお仕事があれば喜んでお引き受けできればと思っています。
その他見どころや豆知識
- 本作の舞台はメキシコという設定ですが、映像は地中海で撮影されています。
- ナットの彼氏トムを演じたジャック・トゥルーマンは、本作で銀幕デビューしました。
- 二日酔いを治す方法はテキーラという最高に頭の悪い会話。
- 「バカをやれる最後のチャンス」という完全なフラグ。「最後」ではなく「最期」ですね。
サメに関する解説
サメの造形
サメのビジュアルは非常に完成度が高いです。
第一背鰭の後縁に若干の違和感を覚えましたが(少しまっすぐすぎる?)、顔つき、歯の形、体格など、全体的にホホジロザメの特徴をよく捉えていました。
また、水上スキーを下から突き上げるシーンで白目をむいているなど、細部までこだわって製作していたことが伺えます。
本作の視覚効果部のコンサルタントを務めたポール・ドチャーティ氏はインタビューの中で、「僕はどんな時も観る人が VFX だと気づかないような仕事をしたいと思っている」と話していたそうですが、そこまで言うだけのことはありますね。
サメの行動
作中で明言はされていませんが、もし本作でナットたちを襲ったホホジロザメが全て同一個体だとしたら、食欲と殺意が異常なサメだったと言えるでしょう。
体温が高いホホジロザメは、サメの中でも食事量が多い方だと思われますが、それでも48時間の間に5人も平らげることはないと思います。
そのほかの行動については、そこまで違和感はありませんでした。
海に漂う獲物の周りをゆっくりと旋回する、出血して弱っている獲物から襲う、突然下から突き上げるように襲い掛かるなど、実際に観察されている行動が描かれていました。
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