『ホワイトシャーク』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

ロスト・バケーション』+『海底47m』÷3というクオリティです。

邦題 ホワイトシャーク
原題Surrounded / Frenzy
公開年2018年
監督ホセ・モンテシノス
出演オーブリー・レイノルズ /ジーナ・ビトリ /ラネット・タッチェル
制作国アメリカ
ランクB級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。)
ストーリー★★★☆☆
演出や絵作り★★☆☆☆
サメの造形★★★☆☆

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目次

あらすじ

姉ペイジがリーダーを務める人気チャンネル”リット・ライフ”のメンバーであるリンジーは、チームメンバーと共に取材旅行をしていた。

動画撮影の企画として、一行は立入禁止区域にある岩礁”レッド・ロック・コーヴ”の洞窟に向けて小型飛行機で出発する。

しかし、岩礁を目前に機体が空中分解して海に不時着。リンジーは海のど真ん中で姉たちと離れ離れになってしまう。おまけに無許可の撮影だったためトランスポンダーを切っており、救助が来ることは期待できない。

極限状態の中、リンジーは機体の残骸や岩礁の物資を使って状況を打開しようとするが、そこに巨大な3匹のホホジロザメが現れる・・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

B級サメ映画の中ではまともな方

トンデモ系のサメ映画と同様にテレビ映画として製作されていますが、サメが飛んだり陸を歩いたりすることはなく、致命的に酷い作品ではありませんでした。

まず、序盤のテンポは悪くありません。登場人物のキャラクターを理解するのに十分な最低限の導入の後、開始10分も経たない間に飛行機が墜落してサメが登場します。

そうして唐突に始まったサバイバル劇の途中に、リンジーの思い出として彼氏や仲間たちが登場し、その回想シーンを通して登場人物たちの関係性が肉付けされていく構成になっています。

この構成はサメ映画では斬新で、序盤でグダグダさせずに人間模様を描く手法としては面白いと感じました。彼氏の言葉を思い出したリンジーが自分を奮い立たせるなど本編ともしっかりとリンクしており、心情変化が自然な形で描かれています。

また、救命ボートに気を取られている後ろでさりげなくパイロットが海中に引きずり込まれるシーンなど、良い演出だと感じるシーンもありました。

後発ヒット作品の寄せ集め

このように評価できるポイントは複数あるものの、物語のテーマや一部のシーンがヒット作の寄せ集めのようになっており、二番煎じ感が強いです。

例えば、「死体のヘルメットについていたGoproを使って遺言めいたビデオを撮影」、「不安定な足場で照明弾を使いサメと闘う」などの展開は完全に『ロスト・バケーション』ですし、水中発煙筒でサメを追い払うシーンや、「キャラクター性の違う姉妹間での嫉妬や絆」という後半に描かれるテーマは『海底47m』と被ります。

普通のサメが出てくるサメ映画で設定が似てしまうのは仕方ないとはいえ、本作は露骨に被せていると感じる場面が多く、しかも2010年代後半に作られたA級・準A級作品との被りが多いため「最近の流行りをパクって作りました」感が強く出てしまっています。

総合的には『ロスト・バケーション』+『海底47m』÷3というクオリティで、B級サメ映画の域を出ていない作品と言わざるを得ません。

その他見どころや豆知識

  • 本作の原題『Surrounded』は「囲まれている」という意味です。
  • ダイビングしているシーンだけ安物ドキュメンタリーみたいな粗い映像になります。高級な水中カメラを用意できなかったんでしょうね。
  • オールをサメに投げつける場面のスローモーションは必要だったのか?
  • 岩を落としてサメに当てる作戦を思いつきますが、そんな都合のいい岩があるわけありません。第一、あの状況でどうやってロープを巻き付けたのでしょうか。

サメに関する解説

サメの造形

CGだと丸分かりのクオリティでしたが、サメのビジュアルそのものは悪くありませんでした。

B級サメ映画にしてはホホジロザメの特徴が忠実に描かれていて、尾柄部のキールや歯の形まで良く再現されていました。もっと自然なCGを作れる予算と技術があれば、非常に良いものが出来上がっていたでしょう。

細かいことを指摘するなら、ホホジロザメにしては妙におデブな見た目で、胸鰭も長いように感じました。

サメの行動

本作のサメは人間を手当たり次第に食べまくるほど飢えていたにしては律儀でした。

というのも、ホホジロザメが海面近くの獲物を襲う時は、真正面から突っ込んでいくよりも、下から突き上げるように襲い掛かる方が多いです(卑怯な不意打ちと思う人もいるかもしれませんが、少ないエネルギーで獲物を捕まえるにはその方が効果的です)。

本作のサメもリンジーたちを海底から狙えばいいのに、わざわざ背ビレを見せつけながら正面から襲いかかっており、よく言えば正々堂々、悪く言えば頭の悪いホホジロザメだなと感じました。

リンジーもサメが近づいた直前に深く潜って避けるという荒業を使っていますが、下から襲われていたらどうするつもりだったんでしょうね・・・。

その他サメの解説

  • 血を付けた小石を投げ込んでサメの気を引いているうちに水中銃を回収するシーンがありますが、ただの石ころより、水音を立てながら流血しているリンジーの方がどう考えても獲物認定されそう。
  • 筏にサメをつないで焼き殺すシーンがありますが、あの大きさのサメなら筏ごと水中に引きずり込むかバラバラにする気がします。

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