サメ映画にありがちなクソCGをそのまま設定として採用した異色のサメ映画です。
邦題 | BAD CGI SHARKS / 電脳鮫 |
原題 | Bad CGI Sharks |
公開年 | 2019年 |
監督 | マジャマ |
出演 | マシュー・エルスワース /ジェイソン・エルスワース /マッテオ・モリナーリ |
制作国 | アメリカ |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★★☆☆ |
演出や絵作り | ★★★☆☆ |
サメの造形 | ★★★☆☆ |
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あらすじ
二人兄弟の弟マシューは、夢見がちで頭の悪い兄から逃げるようにして普通の会社員生活を送っていた。
しかし、離れて暮らしていたはずの兄ジェイソンが、子供の頃に二人で書いていたサメ映画の脚本を携えて突然家にやって来る。
ジェイソンはこの脚本をもとに映画を作って夢を叶えようと言い出すが、不思議な力を持つ謎の男バーナードの能力により脚本が現実化。クソ映画の安物CGみたいな姿のサメが二人に襲い掛かる。
二人はパニック映画の”お約束”を乗り越えてサメを倒そうとするが、ネット経由で知能を獲得したクソCGのサメは、人類に対する革命を起こそうとしていた・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
史上初のメタ・サメ映画
端的に言えば、「サメ映画というジャンルをメタ的に扱った作品」です。
『シャークネード』シリーズをはじめ、サメ映画では「本当は凶暴でリアルな人食いザメです」という設定で、のっぺりしたツルツルのCG感満載なサメがよく登場します。
しかし、本作は「のっぺりしたツルツルのCG感満載なサメ」という設定で、のっぺりしたツルツルのCG感満載なサメが登場し、しかも実際に人を襲います。
「『ジョーズ』のようにアニマトロニクス(ロボット)も、『ディープ・ブルー』みたいなクオリティの高いCGも作れない」という低予算映画の課題を「クソCGのサメがそのまま襲ってくるという設定でいこう!」というアイデアで解決するのは、完全に発想の勝利と言えます。
さらに本作では、不思議な力を持つスピルバーグ風の男バーナードが観客である僕たちに語り掛けたりする、いわゆる”第四の壁を破る”シーンが多々挿入され、そうした意味でもメタ的な作品となっています。
また、特に理由もなく宙に浮いて陸上を追いかけてくる、唸り声をあげる、エンディングで爆発するなど、サメ映画の”あるある”が挿入され、しかもそうした脚本に対してサメ自身が「我々に対する古臭い固定観念を強めるだけ」と怒りをあらわにするなど、サメ映画というジャンルをこれでもかとイジリ倒します。
サメ映画の世界に理解がある方なら、何かしら楽しいと思えるポイントが見つかるでしょう。
サメの映画ではなくサメ映画の映画
サメと人との戦いやサバイバル劇を描いた作品を一般にサメ映画と呼びますが、そうした場合、本作が「サメ映画」に当てはまるのかは悩みどころです。
確かにサメが人を追いかけたり襲ったりする場面はあるものの、本作はサメとの戦いではなく、創作活動に対する情熱や夢を追い求める生き方をメインテーマに置いているように感じました。
兄と仲たがいしつつも映画会社に勤めているマシューは、両親や世間が用意したレールに沿った後も夢を捨てきれない現代人の象徴のようですし、汚い身なりと男性器のような髪型をして夢を語るジェイソンは、世間体や常識に縛られず夢を追う生き方を体現しているように思えます。
本作は二人が再会して再び夢を志すまでの物語であり、クソCGのサメはその過程で現れた不思議な試練という位置づけです。
あえてそれっぽいことを言うのであれば、これはサメを扱った映画ではなく、サメ映画を扱った映画と言えるでしょう。
本作はZ級映画なのか?
上記の内容を見ればわかると通り、本作はかなり人を選ぶ作品です。
サメ映画というジャンルへの理解があることを前提にしていますし、「サメが人を襲うパニック映画」を期待しているとつまらない映画だと感じるでしょう(そもそもタイトルを見た時点で高い期待感の人がいるのか疑問ですが)。
実際にAmazonなどのレビューでも「愛すべきクソ映画」なのか「ただのクソ映画」なのか意見が分かれています(クソであることには全員相違ないようです)。
こうした事情もあるため僕も非常に評価を迷ったのですが、当サイトでは以下の理由により、本作のランクをZ級ではなくB級としました。
まず、演出やカメラワーク、物語のテンポはしっかり作られています。
バーナードがテレビモニターを通して語り掛けてくる場面や、マシューが出勤する前にジェイソンの訪問を知らされるまでの演出やリズムなど、低予算なりに良いクオリティに仕上がっているシーンが多いです(少なくともZ級とされるサメ映画のレベルを大幅に超えています)。
サメに追いかけられるシーンにZ級映画にありがちな無言パートがありますが、作風に合ったサイバーなBGMが流れるコミカルな場面に仕上がっており、コメディとして成立しています。
また、「クソCGのサメが襲ってくる」という設定ですが、Z級というほど酷い代物ではなく、「クソCGという設定」であることも考慮すればまともな仕上がりでした。
そもそも、CGを使いこなしている時点でZ級のクオリティではないとも言えます(実際に観たことある人は分かると思いますが、本物のZ級映画のサメにはCG以前の致命的な問題が多々あります)。
以上のことから、本作はZ級サメ映画のオマージュを入れたり、あえてZ級のようなひどいシーンや演出を入れているだけで、総合的なクオリティとしてはB級と評して差し支えないと思います。
その他見どころや豆知識
- マシューが働く映画会社では『強姦ザメ7 肛門期』という正気とは思えないタイトルの映画が作られていますが、面接中に後ろに飾られているポスターには『強姦ザメ6 噛みつきレイプ』と書かれており、ホワイトボードにも強姦ザメシリーズのことがメモされています。
- ジェイソンが持っているサメのぬいぐるみが可愛い。
- 『Sharks outta watter(サメ上陸)』という映画のタイトルについて「響きがクールなだけで中身がない」と言うマシューですが、別に響きもクールではありません。
- 「Shark in a backyard(裏庭にサメがいる)」がよく考えるとパワーワード。
- 宙に浮けるのに律儀に道に沿って追いかけてくるサメ。
- サメを倒した後のマシュー達が「サメの口に樽を突っ込んで爆発させる」と話していますが、『ジョーズ』で爆発に使われたのは樽ではなくダイビングで使う空気タンクです。
サメに関する解説
サメの造形
タイトルの通りクソCGなのですが、恐らくホホジロザメをモデルにしているということは分かる見た目でした。
ホホジロザメにしては妙に細いとか、第二背鰭や臀鰭が大きいなど色々言いたいことはありますが、「クソCGだから」で全て許されてしまうがこの作品のずるいところです。
サメの行動
陸上で宙に浮き、唸り声を上げながら迫って来る時点で何も言うことはありません。
その他サメの解説
マシューとジェイソンが夜中に観ているサメ映画のような映像に写っているサメはヨシキリザメという種類です。
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