邦題からふざけている気がしますが、映画の中身はもっとふざけています。
邦題 | スノーシャーク 悪魔のフカヒレ |
原題 | Snow Shark: Ancient Snow Beast |
公開年 | 2012年 |
監督 | サム・クアリアナ |
出演 | サム・クアリアナ/マイケル・オヘア/キャシー・マーフィー |
制作国 | アメリカ |
ランク | Z級(もはや映画ではない何か。サメ映画の沼であり闇。見ればZだと分かる。) |
ストーリー | ★☆☆☆☆ |
演出や絵作り | ★☆☆☆☆ |
サメの造形 | ★☆☆☆☆ |
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あらすじ
1999年、雪山近くのとある田舎町。大地震の影響を調べに来た研究者たちが、雪の中を”泳ぐ”サメ、スノーシャークにより殺されてしまう。
スノーシャークによる被害はその後も続いたが、一人の少年によってスノーシャークは退治され、町は平和を取り戻すこととなった。
しかし、それから12年後。スノーシャークのことを忘れ去った町に再びサメが現れ、住民を次々に襲い始める。
かつてサメを退治した青年マイク、市長により集められた専門家チーム、サメに息子を殺された保安官たちは、それぞれの思惑や因縁のためにスノーシャークに戦いを挑むが・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
登場人物が多すぎるグダグダ展開
いまや一部でカルト的な人気を誇るZ級サメ映画の歴史上、本作は現代Z級サメ映画の先駆けとも言える作品です。
「雪の中をサメが掘り進む」という時点でバカバカしく感じますが、同じような設定のB級サメ映画『ビーチ・シャーク』がまともな良作に思えてくる代物です。
まず、低予算のくせに登場人物がやたらと多く、全体的に人物描写や背景説明が不足しており、集中して人物把握に努めないと誰が誰だか分からなくなります。
作品全体が質の悪いドキュメンタリー映画みたいな画質で、主要な人物が重要な話をしているのにカメラがやけに引きで撮っているなど、視覚的な要素もこうした分かりづらさに拍車をかけます。
しかも、登場人物たちに際立った特徴がなく、すぐ喰われるモブキャラの会話シーンがやけに長かいため「あれ、コイツらどうなった?」「この人誰だっけ?」「コイツは主要キャラか?モブキャラか?」」というクエスチョンマークが僕の脳内を泳ぎ続けました。
人喰いモンスター系の映画だけでも100作品以上は観てきた僕が、レビューを書こうと集中しながら鑑賞してこんな感じだったので、一般人が普通に観たらどうなるのか・・・。不安でしかありません。
しかも、主要キャラである調査チームの3人組がくだらないことで口論した挙句、そのやり取りが何の伏線にもならないままあっさり喰われてしまい、スノーシャークと重要な因縁を持つホフマン教授すらも一瞬で餌食になるなど、尺の長さや扱いが配役の重要度と釣り合っておらず、もう色々とめちゃくちゃです。
サメがほとんど映らないサメ映画
「ストーリーがグダグダでも人がサメに喰われるならそれでいい!」という人もいるかもしれませんが、そもそも本作はサメがほとんど映りません。
ストーリーの大部分はスノーシャークの出現と被害に悩まされる市長やマイク、保安官や調査チームの人間模様で占められており、スノーシャークのことを話したりサメを探す場面はありますが、サメと対決したりサメから逃げるシーンは非常に少ないです。
また、数少ない襲撃シーン内でも、サメはほとんど映りません。というより、サメがショボ過ぎるのを隠すために映していない感があります。
どう見ても板切れにしか見えないサメの背ビレが一定の速度で直線的に雪の上を移動したり、発泡スチロールを色塗りしたようなサメが一瞬ブワっと映ったりした後、基本は引きずられたり噛まれたりする人が安っぽい演出で血まみれになる場面ばかり・・・。
背ビレが迫ってきた後に登場人物が悲鳴を上げるだけで「はい、この人死にました」と言わんばかりに襲撃シーンを切り上げてしまうことすらあり、「この人は食われたという認識でいいんだよね?」と疑問を持ちながら観ることになりました。
最後の最後でマイクとの一騎打ちするシーンでようやく全体像を現すものの、なんともお粗末な出来栄えで、しかもサメ映画の伝統芸である爆発ですぐさま木端微塵に・・・。
サメ映画の原点『ジョーズ』は、サメの姿をなかなか映さずに成功を収めたことで有名ですが、あれは優れた脚本や演出あってこそなんだなと、ある意味再認識できる作品と言えるかもしれません。
その他見どころや豆知識
- 作中の所々に「フーパ―」「ブルース」「ショーン」など『ジョーズ』に関連した名称が散りばめられています。
- サメの口からサンタの脚が出ているぬいぐるみが可愛い。どこかで売っているのでしょうか・・・。
- ホフマン教授がバーでサメのことを話す際「デビルシャークだよ」という日本語字幕が表示されますが、実際の英語では「She is the Devil herself(奴こそ悪魔そのものだ)」と言っています。そもそも、『デビルシャーク(現在の邦題は『エクソシスト・シャーク』)』が公開されたのは本作から3年経った2015年です。
- マイクがサメと共に自爆するシーン、実際は「Come and get me, you bitch(かかってこいよクソアマ)」と言っていますが、日本語字幕では「笑えクソ野郎」と、思いっきり『ジョーズ』のラストを意識したセリフに変わっています。字幕担当のサメ映画ルーキーさんが完全に遊んでいますね。
- 本作の製作には、後に『フランケンジョーズ』や『エイリアンVSジョーズ』などの伝説的迷作サメ映画を作るマーク・ポロニアがスタッフとして参加しています。
- 雪の中をサメが泳ぐ映画としては他にも『アイス・ジョーズ』が知られています。日本で流通したのは『アイス・ジョーズ』が先でしたが、米国で先に製作されたのは本作でした。
サメに関する解説
サメの造形
造形も何も、そもそも画面にほとんど映りません。
ラストシーンで一瞬映るサメを観る限り、発泡スチロールか粘土で作ったような子供だましのハリボテであり、あれが襲ってきても素手で粉砕できるだろうなという見た目でした。
サメの行動
地中の中を掘り進むのがいかに非現実的であるかは『ビーチ・シャーク』のレビューで書いたので、詳しくはそちらをご覧ください。
その他サメに関する解説
- 雪ザメ狩りのためにハンターが集まっているシーンで置いてある顎は、恐らくアオザメのものだと思います。
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参考文献&関連書籍
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