世界で二番目に大きな巨大ザメ!ウバザメを解説!危険なサメ?日光浴する?冬眠する?巷の噂を一気に解決!

今回ご紹介するのは、世界で二番目に大きいサメ、ウバザメです。

名前を聞いたことがない人も、サムネイルに使った写真のようなサメを「ヤバすぎるサメ」や「海洋恐怖症注意」などのコンテンツで見たことあるのではないでしょうか。

しかし、世界で一番大きなサメであるジンベエザメに比べると、その実態はあまり知られていないように思えます。

  • 実際どんなサメなのか?
  • どこでどんな生き方をしているのか?
  • UMAの正体だとされた例の噂は本当なのか?

今回は世界で二番目に大きい巨大ザメ、ウバザメについて解説をしていきます!

目次

解説動画:【巨大ザメ】UMAネッシーの正体と言われた世界で二番目に大きなサメ、ウバザメを解説!【都市伝説】【ニューネッシー】【Basking shark】

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

※動画公開日は2021年9月8日です。

ウバザメは一体どんなサメ?

まずはウバザメの基本情報を見ていきましょう。

ウバザメは、ネズミザメ目ウバザメ科ウバザメ属に分類されるサメです。

サメの中には同じ科や属に似ている仲間がいることもありますが、ウバザメは一科一属一種、メガマウスザメと同じように、ネズミザメ目の中でも独立したグループに分類されています。

生息域は世界中の亜寒帯や温帯海域です。ウバザメと一緒に泳げる場所としてスコットランドが有名なので、冷たい海にしかいないイメージがあるかもしれませんが、日本でもごく稀に定置網で混獲されることがあります。

アクアワールド大洗に展示されているウバザメのはく製。日立市の定置網で混獲された個体です。

そして、先述の通りウバザメは世界で二番目に大きなサメであり、同時に世界で二番目に大きい魚でもあります。

大きさは全長8m以上、大きいものだと10mを超えるとされています。

非常に大きな口、そして体をほとんど一周するような大きなエラ孔、天狗を思わせる長く突き出た吻など、まさに見間違うことはない特徴的な見た目をしています。

ちなみにこの長い吻ですが、成魚だと立派な円筒形ですが、成熟する前の個体だとゾウみたいに細長くなります。

また、ホホジロザメやアオザメのように尾鰭下葉が長くて三日月型になること、尾鰭の付け根あたりにキールと呼ばれる隆起した部分があることも特徴です。

こうした特徴に加え、体が大きいこともあり、ウバザメはよくホホジロザメと間違われることもあります。

ウバザメは危険なサメなのか?

ホホジロザメに勘違いされるくらいシルエットがサメらしく、しかも巨大な口を持っているので、ウバザメを恐ろしいモンスターのように勘違いする人も多いです。

しかし、ウバザメは人間を襲うことはまずない非常に大人しいサメです。

ウバザメはジンベエザメと同じく、フィルターフィーダーです。つまり、小さな生き物を海水ごと口の中に入れて、エサだけを濾しとって食べます。

こうしたサメのエラには鰓耙と呼ばれる突起物がたくさん生えていて、口から入った海水がエラを通る際に、小さなプランクトンなどがこの突起物に引っかかります。

このような食生活をしているので、ウバザメは歯が非常に小さく、とても大きな獲物を引き裂いて食べるようなことはできません。

もちろん、大型の野生動物なのでペットのように触れ合うことはできませんが、人を獲物と見なして襲ってくることはあり得ないでしょう。

ウバザメの鰓耙。髪の毛みたいなものがエラの内側に並んでいます。
ウバザメの歯。体や口の大きさに似合わず非常に小さいです。

ジンベエザメとウバザメの食べ方は異なる

ジンベエザメとウバザメで異なるのが、ウバザメは口をただ開けっぱなしにしているだけということです。

ジンベエザメは小さなプランクトンなどを海水ごと勢いよく吸い込んで捕食しますが、ウバザメは巨大な口を開けてプランクトンの群れにゆっくりと突っ込んでいくだけ。その時に口の中に入った餌を濾しとって食べています。

ウバザメが表層域でプランクトンをゆっくり泳ぎながら食べる様子が日光浴をしているように見えることから、英語ではBasking shark(日光浴をするサメ)と呼ばれます。

Sunfishと呼ばれることもありますが、これはマンボウの英名でもあるので、Basking sharkの方が誤解を招かずに済むと思います。

サメ社会学者Ricky

ちなみに、ウバザメは漢字で「姥鮫」と書きます。シワの入ったおばあちゃんの顔みたいだからこの名前が付けたれたそうです。

ウバザメは海から飛び出す?

ウバザメはゆっくり泳ぐ大人しいサメとされていますが、そのイメージに反して、突然水中から勢いよく飛び出してくることがあります。

このジャンプのことを「ブリーチング」と呼びます。

海面から飛び出す生物は他のサメ類やエイの仲間、クジラなどで知られていて、その理由についても諸説あります。

  • 天敵への威嚇
  • 異性へのアピール
  • 寄生虫を体から落とす
  • 単なる遊び

このブリーチングの目的についてはハッキリと分かっていませんが、非常に巨大なサメで天敵があまりいないこと、体に対して脳みそがあまりにも小さく「遊び」などの概念があるとは思えないなどの理由から、繁殖行動や寄生虫除去が理由だと思われます。

実際にウバザメの体にはヤツメウナギの仲間やカイアシ類などがくっついていることがよくあります。

ウバザメは本当に冬眠するのか?

ウバザメは他のサメでは聞いたことがない面白い噂があります。

それは、「ウバザメは冬眠する」というものです。

ウバザメはヨーロッパ周辺海域においては春から夏にかけて多く見られ、秋から冬の時期になるとあまり姿が見られなくなります。

さらに、1950年代の10月と11月に、ある研究者がオランダでエサを濾しとるための鰓耙が欠落しているウバザメを発見しました。

これらの証拠から、「ウバザメは冬の間は鰓耙が抜け落ちてしまい、エサが食べられないので深海で冬眠しているのではないか?」という説が唱えられたんです。

しかし、この冬眠説については「真偽不明」と一般にされつつも、否定的な意見が多くでているのが現状です。

まず、鰓耙が欠落したウバザメがいるのは事実のようですが、鰓耙が欠落しているのに胃の中に沢山のプランクトンが詰まっている個体が確認されています。

そして、ウバザメが実際に冬眠している様子が確認されたことはこれまでありません。

表層を泳いでいるウバザメは何度も目撃されていますが、深海で寝ている姿はこれまで見つかっていません。

そもそも、エサの少ない深海にあんな肉の塊が横たわっていたら、多くの深海生物にとって無料食べ放題みたいなものです。恐らく、あっという間に骨まで残らない有様になると思います。

さらに、発信機を使ったトラッキングや目撃情報を集計した複数の研究によって、ウバザメが大規模な回遊をすることが明らかになりました。北米のケープコッドから10ヶ月かけて南米ブラジルまで南下した(約6500km!)記録もあります。

ウバザメの回遊については不明なことも多く、ウバザメが水深1200mの深みに潜った記録もあるので断言はできませんが、ウバザメの深海冬眠説は定説と呼べるほどはっきりと証明されたものではないと言えます。

さて、今回の記事はここまでですが、次回は冬眠説よりもっと有名な噂、ニューネッシーについて解説していきます。

参考文献

  • Jose I. Castro 『The Sharks of North America』 2011年
  • 仲谷一宏 『サメ ー海の王者たちー 改訂版』2016年
  • 沼口麻子 『ほぼ命がけサメ図鑑』2018年 
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