『ドルフ・ラングレン 処刑鮫』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

ハッキリ言ってドルフ・ラングレンの無駄遣いです。クライムアクション系サメ映画の中でも低レベルな駄作で、ヌー・イメージ社のB級サメ映画の方が楽しめると思います。

邦題ドルフ・ラングレン 処刑鮫
原題Shark Lake
公開年2014年
監督ジェリー・デューガン
出演ドルフ・ラングレン /サラ・マラクル・レイン/マイケル・アーロン・ミリガン
制作国アメリカ
ランクB級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。)
ストーリー★★☆☆☆
演出や絵作り★★☆☆☆
サメの造形★★☆☆☆

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目次

あらすじ

湖畔の田舎町に住む警察官メレディスは、暴行や脅迫、危険動物の違法飼育などの罪を犯してきた犯罪者クリントを逮捕。残された彼の幼い娘カーリーを引き取って育てることになった。

しかし、そのカーチェイス中の事故により転落した貨物から、人知れずオオメジロザメが湖に逃げ出していた。

それから5年後、刑期を終えて出所したクリントは娘と再会すべく町に戻ってくるが、かつて密輸業の取引をしたマフィアが彼に接触してくる。

さらに、湖ではオオメジロザメが人を襲う事件が連続して発生していた。

海洋生物学者ピーターの協力を得たメレディスが人食いザメの被害を食い止めようとする一方、クリントはサメを回収して仕事をやり遂げるようマフィアたちに脅迫される・・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

設定詰め込み過ぎてマッチョを活かしきれず

『ロッキー4 炎の友情』で敵役イワン・ドラゴ役を演じた極真空手俳優のドルフ・ラングレンが出演するサメ映画です。とはいっても、実質的な主人公は女性警察官のメレディスです。

また、「処刑鮫」なる邦題がついていますが特に深い意味はありません。

主要人物の組み合わせが「真面目な警察官・インテリな海洋学者・腕の立つ荒くれ者」という、まんま『ジョーズ』通りで、ストーリーの序盤ではサメの全体像を見せないあたりも『ジョーズ』を意識しているのだと思いますが、そのクオリティは残念なものでした。

とにかく、色々なストーリー軸を詰め込み過ぎて全てが中途半端です。

まず、作品全体が「実父である犯罪者と育ての親である警官との間で娘を巡る親子問題」という側面にかなり尺を使っており、全体的にテンポが悪いです。

また、クリントにサメを運ばせていたマフィアとの対立というアクション映画的な要素を描いておきながら、マフィアとの格闘シーンは序盤の一回だけ。「人間核弾頭」の愛称を持つ格闘家ドルフ・ラングレンを登場させる意味はあったのでしょうか。

さらに、そんな感じでグダグダしている中でメレディスとピーターのラブロマンス的なものも始まるのですが、デート中に生き物について熱く語るというピーターの非モテムーブが炸裂するのみ。危機的状況で二人が急接近したり派手な濡れ場があるわけでもありません。

結局、メレディスは一回命を救われただけであっさりクリントを認め、マフィアのボスはサメに喰われることもなく逮捕されたのかも曖昧な描写で退場し、ピーターはメレディスとつかず離れずの関係性のままサメに喰われて終わります。

クライムアクション系サメ映画でサメが蔑ろにされることは”あるある”なのですが、ここまでグダグダする作品も珍しいです。

いっそドルフ・ラングレンが極真空手でマフィアをボコボコにしてくれれば「サメ映画なのかよく分からないけどスッキリした!」という感想で視聴を終えることができたでしょう。

登場の仕方からCGまでとにかくショボいサメ

ドルフ・ラングレンという筋肉マシーンを疎かにしてストーリーがイマイチでも、せめてサメが大暴れしてくれれば・・・。

そんな儚い望みも映画中盤あたりで打ち砕かれることになります。

正直、序盤は少し期待していました。

冒頭で沈んだ車のヘッドライトに照らされるわずかなサメの影、最初の犠牲者を襲う時のサメ視点映像、ピーターの上を通り過ぎる大きな影など、さりげなくサメの存在を示す非直接的な描写が良かったので、いざ姿を現すときは『ジョーズ』で最初にサメが顔を見せた時のようにドラマチックに登場してくれるのでは・・・?と思っていました。

しかし、その期待は大きく裏切られました。

レジャーを楽しむ人々の前にサメが現れて「一連の事故の犯人はサメだった!」と知れ渡るシーンにて。サメの登場があまりにもヘボ過ぎます。

「水から出て!」とメレディスが叫んだと同時に後ろからサメが現れて一同パニックになるのですが、背景に混じるようにいつの間にか背ビレが現れ、サメが完全に周囲の景色と同化してしまっています。サメにズームしたりするカメラワークも一切なし。

『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズで映っている幽霊を見つけるのが得意な僕ですら「え、あれサメか?」という風になったので、普通の人だったら「え?サメいるの?どこ?」となると思います。それくらいサメの存在感が希薄です。

しかも、背ビレを出してゆっくりと人々に迫っていたはずのサメが次のカットでいきなりパラセーリング中の女性の脚を噛み千切ります。そして、そんなショッキングなシーンのはずなのに、映像の右下に一瞬サメが見えるだけで襲撃シーン終了。

なぜ岸の近く泳いでいたサメがいきなりパラセーリング女子を襲っているのか?瞬間移動?え、これだけでサメのシーン終わり・・・?

もう完全に観客は置いてけぼりです。

もっとも、実際にはサメが複数いることが後に明らかになるので一応整合性のある襲撃シーンなのですが、初めて観ているこっちはそんなこと知る由もないし、いずれにしても味気なさすぎて唖然とさせられます。

序盤に全然サメを出さない焦らしプレイをしたんだから、サメを出すときは衝撃的な演出をして欲しかったです。

その後もサメは謎の英国サメハンター的な男を惨殺したり、メレディスの母親に襲い掛かろうとしたり、クリントと格闘したりするのですが、噛みつくシーンがパンチ不足、銃撃であっさり倒される、水中の映像が暗すぎるなどの理由でどれもパッとしません。

さらに言えば、襲い来るサメ、噴き出す血、浸水する水、全てのCGがチープです。『シャークネード』シリーズがマシだと思えるクオリティです。

ドルフ・ラングレンの筋肉も活かしきれず、『ジョーズ』の演出や設定を中途半端にパクったけど駄作に終わる。一体この映画は何がしたかったのか。僕にはもうよく分かりません。

その他見どころや豆知識

  • 本作の実質主人公メレディスを演じたサラ・マラクル・レインは『シャークトパス』でメインヒロインのニコールを演じた女優でもあります。
  • ものすごく水深が浅い場所で襲われたクリストファー老人。あれだけ水が澄んでいたらサメの出現にもっと早く気付けただろうに。
  • 湖に沈んだ貨物からサメが逃げ出したという設定ですが、誰も車を証拠物件として引き上げなかったのか?貨物の中身を取り調べや追加捜査で明らかにしなかったのか?警察の捜査がザルすぎます。
  • 突然現れる仮面パリピ集団が謎。
  • ギャレスたちがサメを追いかけるシーン、序盤は水中で撮影しているのに、途中でいきなり合成っぽい画質になります。もしかしてシーンが足りなくて後で作った?
  • ギャレスたちが襲われた後、まだカメラマンが生きているかもしれないのに水中に銃を乱射する署長。その後もサメに独断で賞金をかけて素人サメハンターを集めて混乱を作ろうとする。色々と無能すぎます。
  • メレディスの母親が襲われそうになるシーン、結局水に入っていったワンちゃんがどうなったのか最後まで分かりません。ワンちゃんは無事だったのかはっきりして欲しい。

サメに関する解説

サメの造形

とにかくお粗末なサメでした。

ネットにアップされているイラスト素材のような見た目で、『ピクセル』のように「ゲームのキャラクターが飛び出してきた」という設定の方がお似合いの見た目です。

また、本作のサメはオオメジロザメという設定ですが、全然オオメジロザメに似ていません。

実際のオオメジロザメ。

写真の通りオオメジロザメは短くて丸みを帯びた吻、目が小さくてやや猫目っぽい、がっしりした筋肉質な体格などの特徴を兼ね備えたサメです。

しかし、本作のサメはホホジロザメを間抜けにしたような顔で、吻先が尖り気味で真っ黒く大きな目など、オオメジロザメっぽさを欠片も感じさせない顔つきでした。

これまでオオメジロザメが登場する作品で胸を張って「これはA級のクオリティだ!」と自信を持って言える作品はありませんが、『レッド・ウォーター サメ地獄』や『シャークストーム』の方がサメの再現度は高かったと思います。

サメの行動

本作でピーターが語ったオオメジロザメの知識の一部は事実と合致しています。

ほとんどのサメが海の中でしか生きられませんが、オオメジロザメを含む一部のサメは浸透圧調節に優れており、淡水域の川や湖に出没します。

作中で語られる通り、ミシシッピ川の上流やニカラグア湖で確認されたこともあります。

ただし、淡水であればどんな環境でも生きられるわけではなく、少なくとも仔ザメは塩類濃度の高い場所を好むことが沖縄で行われた研究によって明らかになっています。

また、「すべての生物は子供を守る」とピーターは言っていますが、子育てをしない動物も多いです。

本作のサメは何故か親子共同で狩りをしていましたが、本来サメは子供を産みっぱなしで、出産後は一緒に過ごすことはありません。

むしろ、仔ザメにとって成魚は天敵でもあるため、それぞれ離れて暮らすことの方が多いです(オオメジロザメの幼魚が川に上る理由の一つも、成魚を含む天敵から身を守るためとされています)。

ディープ・ブルー3』のように「知能が高くなった」という設定があるならまだ納得できますが、そのような要素がない本作で何故サメが協力し合っていたのか?そんな設定がありながら何故映画の後半では単体で狩りをしているのか?

考えても答えが出ないのですが、制作陣自体が深く考えていないのでしょう。

その他サメに関する解説

  • メレディスがオオメジロザメだと言ってピーターに見せた写真に写っているのがオオメジロザメではありません。第一背ビレのあたりが盛り上がった独特の体格からヤジブカだと思われます。また、写真を見て妊娠個体だったことが判明するという設定ですが、僕には普通のヤジブカに見えました。

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