邦題 | ホワイトシャーク 湖の水面の下に |
原題 | Shark Warning |
公開年 | 2024年 |
監督 | ジミー・ガッド |
出演 | アンドリュー・カーターズ / アンジェラ・コール / デビッド・チョカチ |
制作国 | アメリカ |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★★☆☆ |
演出や絵作り | ★★☆☆☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
幼い少年がホホジロザメに襲われる事故が起きてから20年後、米国アリゾナ州のハバス湖に繋がる川はダムによってせき止められていた。
しかし、年に一度の釣り大会の成功を悲願とする市長が魚を湖に入れようと画策したことで、ダムの向こう側にいたサメが湖に侵入してしまう。
20年前の事故で死亡した少年の兄アランと、その事故に責任を感じる彼の叔父ロンは、さらなる被害を防ぐため人々に警告し、サメを駆除しようとするが・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
ついに出た「水面の下に」系サメ映画
「湖の水面の下に」というタイトルからして、すでに香ばしいB級臭が漂っていますね。
『ジョーズ・リターンズ』や『ジョーズ’96 虐殺篇』などに代表されるジョーズ系、『ディープ・ライジング』や『ディープ・シャーク』などに代表されるディープ系など、A級サメ映画がヒットした後は必ずと言っていいほど、それをパクったような邦題のB級映画が現れます(念のため言っておきますが、これらの作品は本家『ジョーズ』や『ディープ・ブルー』とは無関係です)。
『ロスト・バケーション』公開後も『ジョーズ・バケーション』が出てきまし、『MEG ザ・モンスター』公開後の中国産サメ映画の一つは『ジョーズ・ザ・モンスター』と名付けられました。
僕が知る限り、本作は『セーヌ川の水面の下に』のタイトルをパクった最初のサメ映画です。
もっともパクリなのは邦題だけで、原題は『Shark Warning(サメ警告)』です。米国の製作陣に罪はなく、あくまで日本の配給会社の問題です。
恐らく今後も「とりあえず水面の下に沈めとけばいい」というノリのタイトルが量産されることでしょう。
ストーリーはアサイラムらしからぬ王道
そんなB級臭漂う邦題の本作のストーリーは、トンデモの権化として悪名高いアサイラム社の作品にも関わらず、ストーリーはびっくりするくらい古典的です。
平和な田舎町に人喰いザメが現れ、主人公が警告するも町の権力者が耳を貸さず被害が拡大。結局は主人公がサメ退治に向かうという、『ジョーズ』から踏襲されてきた王道の流れで進行します。
湖にホホジロザメが現れるのはトンデモな気もしますが、一応「海水も混じっている」という説明が後からされますし、竜巻で飛んできたりタコと合体してきたB級サメ映画の歴史を振り返ればマシな方でしょう。
本作の特色を挙げるなら、人間関係が細かく描かれた割には全体的に分かりやすいことかと思います。
本作のストーリーでは、
- 弟をサメに殺された事故の時に自分たちをしっかり見ていなかったと叔父を責めるアランと、事故当時のことを悔いて自分を責め続けるロンが、サメ退治を通して理解し合っていく男同士のドラマ
- 事故のトラウマを引きずりロンを恨んでいるアランと、彼を気にかける元同級生リサとのロマンス
- 釣り大会のためにダムを破壊してサメの侵入を許したり、人々に警告せず内密にサメを処理しようとする町長の暗躍
という、主に三つの人間模様が描かれます。
ここまで人間模様を盛り込んだB級サメ映画は迷走することが多いのですが、本作では「市長の弟がロンの友人をサメ駆除にけしかける」「ビーチでサラの妹がサメに襲われたところをロンが助ける」など、自然な流れで各キャラクターたちが繋がりつつ話が進みます。
B級サメ映画にありがちな”シャーク稼ぎ(本筋に関係ないモブキャラがサメに喰われるシーンを特に意味もなく挿入する時間稼ぎ)”もなく、全体的な流れがスムーズです。
物語の冒頭で示された「町が弟の死を悼んでくれるなら・・・」というアランの想いが、最終的に修復されたダムの名前という形で回収されるのも個人的にはオシャレに感じました。
ちゃんとサメが水の中を泳ぐうえにストーリーが整っているという、ある意味アサイラムの方向性が心配になる作品です。
肝心のサメが盛り上がりに欠ける
B級サメ映画にしてはストーリーが整っていましたが、肝心のサメ登場シーンの盛り上がりに欠けるのが難点です。
各襲撃シーンにおけるサメが一瞬ガバッと飛び出して噛みつくだけだったり、船に体当たりするだけなど、味気ないものが多いです。
サメを銃撃したり銛を放つシーンでも、サメがあまり映らず人間の顔メインの絵面が多いという、アサイラムの悪いところが出ています。
本作に登場するサメは目にキズがあり、それによって20年前ダニーを殺したサメと同一個体だと判明するという復讐劇らしい要素があるのですが、各シーンでサメの顔があまり映らない(しかも時々CGが変わる)ため、その重要な要素がビジュアルで分かりづらいのも気になります。
また、サメと闘う漁師二人が自身の武器である銛や毒で絶命するという展開はオリジナリティがあって悪くないと思いますが、二人とも割と簡単に死亡するため「手を抜きたかっただけなのかな」と思えてしまいます。
特に町長の弟であるウィリアムは「俺は高い報酬に値するサメ退治のプロだ!」みたいな言動を繰り返していた割には見せ場もないまま退場し、そのウィリアムから一目置かれていた町長も一瞬でサメに喰われたのは期待外れでした。
「大規模イベントを目前に控えた町に人喰いザメ」という定番設定でありながら、釣り大会の参加者自体は誰も犠牲にならずサメがひっそりと倒される点も微妙です(テレビ映画なので、大規模感の演出自体が難しかったのだと思いますが・・)。
冷静に数えると7人もの人間がサメの被害を受けているにもかかわらず、サメの存在感が薄いと感じてしまいました。
その他見どころや豆知識
- サメが危険だと警告しつつ「俺に駆除して欲しけりゃ高額報酬を払え」と言ってサメ狩りを渋り続けるウィリアム。
- 「サメの話だけしてくれ」という、またサメ映画界隈でミーム化されそうなセリフ。
- エドウィンが襲われるシーンで、明らかに足ついて歩いている感じの描写があるのに、水中で襲い掛かるサメは水深の深い場所を泳いでいます。
- 釣り人から町長に対する「支払いは現金か?」という問い合わせは、明らかに『ジョーズ』を意識したものです(サメに懸賞金が出た後、真面目な会議中にオッサンが「サメ退治の賞金は現金か?それとも小切手かね?」と冗談を飛ばすシーンがあります)。
- サメ退治をしにいくのにスーツとパンプスの町長と、水着姿のアラン達。全員舐めてます。せめてライフジャケットを着ましょう。
- ボートの近くにサメがいるから岸まで泳げとかいう鬼畜。いいからボートに上げてあげて欲しい。
- 大した攻撃を受けていないのに急に沈み始める船。
サメに関する解説
サメの造形
邦題にもある通り、登場するのはホホジロザメです。
アサイラムが最初にサメ映画界に参入してから15年ほど時が経っているにも関わらず、相変わらずCG感丸出しののっぺりしたサメでした。
本作で気になったのは、「20年前にダニーを殺したサメと今回のサメが同じ個体」という設定で一尾しかサメが出ない話なのに、CGが途中で大きく変わることです。
冒頭のダニーを襲うシーンではホホジロザメにしてはやや違和感のある(なんかメジロザメっぽい)頭の形をしたサメで、ダム爆破時にエドウィンを襲う際は『ジョーズ』のブルース(サメのロボット)をモチーフにしたような頬が膨れた顔つきで、他のシーンは『シャーク・クルーズ』など他作品と同じCGの使い回しという感じでした。
専門外なので詳細は不明ですが、水中シーンのCGと空気中にサメが顔を出すシーンのCGを分けないといけない、何かしらの事情があるのかもしれません。
CGにバラつきがあるのはB級サメ映画の”あるある”ですが、本作は同一個体であることが一つの重要要素であったため、粗い部分が余計に気になりました。
『ジョーズ』製作時のようにCGアニマロトニクスと本物のサメの映像を混ぜる必要があった時代なら仕方ありませんが、今はAI技術も発達したハイテクの時代です。B級だとしても、もう少し頑張って欲しいですね。
サメの行動
本作で注目すべきは「ホホジロザメが湖に現われる可能性はあるのか?」と「ホホジロザメが20年以上生きている可能性はあるのか?」の2点でしょう。
湖に現れた事例はある
ホホジロザメが湖に現れた事例自体は存在します。
2024年オーストラリアのコンジョラ湖という場所で、若いホホジロザメが泳いでいる様子が撮影されたことがありました。
頻繁に起きる現象かは不明ですが、外洋性のヨシキザメが川に迷い込んだ事例もあるため、ホホジロザメも川や湖に入ってしまうことがあるのかもしれません。
当時のニュース映像はコチラ↓
ただし、本作の舞台であるアリゾナ州ハバス湖(実在する湖です)は、コロラド川で一応海とつながっているもののかなり内陸にあり、ホホジロザメが現れる可能性はゼロに等しいでしょう(先述のコンジョラ湖は海に近い場所にあります)。
また、海水が入ってくる環境であればどんなサメでも生きていけるわけではありません。
サメ類にとっても適切な塩類濃度というものが存在し、薄すぎたり濃すぎたりすれば命に関わります。淡水に入ってくることでお馴染みのオオメジロザメですら、川の中でも塩類濃度の濃い場所を好むなど、彼らなりに適した環境を選んでいるようです。
ホホジロザメの寿命について
作中でロンは「ホホジロザメは70年以上生きる」という旨の発言をしています。
実際に2014年に発表された放射性炭素年代測定を用いた研究によって、実験対象のホホジロザメの年齢が73歳だという結果が出ています。
サメの寿命については不明なことも多いですが、ホホジロザメが20年間生きながられること自体は、十分にあり得るでしょう。
その他サメの解説
本作のサメは終始唸り声をあげていますが、サメは吠えません。
サメが吠えるのはB級サメ映画の定番ですが、それにしても本作は終始吠えまくっており、救いようがなかったです。
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